季節は巡り、隣のあなたはいつでも美しい
翌週の青年会では、澪に結婚指輪と婚約指輪を両方つけさせた。
面倒くさがるお袋にも頭を下げて一緒に来てもらった。
「澪、俺の法被、サイズ直してくんねえ?」
「承知しました」
澪は手際よく肩や裾を直す。
前回も同じ物を着てるから、大きな直しもなくてすぐ終わった。
「サンキュ。俺、藤乃と警察に出す書類の確認してくるから、お前はお袋の手伝いよろしく」
「はい!」
澪の頭をわしゃっと撫でて離れようとしたら、若い男の声がした。
「あ、すみません。僕の法被のサイズも直してもらえませんか」
振り返ると、神輿担当の男が澪に声をかけている。
澪は困った顔で首をかしげた。
「すみません、衣装は菅野さんがとりまとめていらっしゃいますので、そちらで……」
「ちょっとほつれを直してもらうだけでいいんです。菅野さん、忙しそうですし」
菅野さんは神主さんの娘さんだ。
そりゃ、忙しいだろうけどさ。
だからって、俺の嫁をこき使われちゃ困る。
「こいつも忙しいんで」
戻って澪を抱き寄せた。
男は目を丸くする。
「えっ、でも、あなたも直してもらってましたよね?」
「夫と赤の他人を一緒にすんなよ。行くぞ」
「はわ」
肩を抱いたまま澪をその場から連れ出した。
お袋のところに送り届けて、俺は藤乃のところに向かう。
「お前さー、ほんとさー」
呆れ顔の藤乃をにらみ返した。
「んだよ」
「もう、連れて来なきゃいいのに」
「そうは行かねえだろ」
「まあ、そうなんだけど。美園さん、大人しそうに見えるから、余計に絡まれやすいよね」
「どうしたもんかね」
「ま、そうやって瑞希が威嚇してりゃ、そのうち落ち着くんじゃない?」
「俺は犬かよ」
「番犬みたいなもんだろ」
そうかも。
澪の手のひらで転がされてるし。
帰ったら犬らしく、思いきり舐めてやろう。
ご主人様も、喜ぶだろう。
俺が本当に犬だったら、たぶんめちゃくちゃマーキングしてた。
そういう意味では今もあんまり変わんねえけどさ。
面倒くさがるお袋にも頭を下げて一緒に来てもらった。
「澪、俺の法被、サイズ直してくんねえ?」
「承知しました」
澪は手際よく肩や裾を直す。
前回も同じ物を着てるから、大きな直しもなくてすぐ終わった。
「サンキュ。俺、藤乃と警察に出す書類の確認してくるから、お前はお袋の手伝いよろしく」
「はい!」
澪の頭をわしゃっと撫でて離れようとしたら、若い男の声がした。
「あ、すみません。僕の法被のサイズも直してもらえませんか」
振り返ると、神輿担当の男が澪に声をかけている。
澪は困った顔で首をかしげた。
「すみません、衣装は菅野さんがとりまとめていらっしゃいますので、そちらで……」
「ちょっとほつれを直してもらうだけでいいんです。菅野さん、忙しそうですし」
菅野さんは神主さんの娘さんだ。
そりゃ、忙しいだろうけどさ。
だからって、俺の嫁をこき使われちゃ困る。
「こいつも忙しいんで」
戻って澪を抱き寄せた。
男は目を丸くする。
「えっ、でも、あなたも直してもらってましたよね?」
「夫と赤の他人を一緒にすんなよ。行くぞ」
「はわ」
肩を抱いたまま澪をその場から連れ出した。
お袋のところに送り届けて、俺は藤乃のところに向かう。
「お前さー、ほんとさー」
呆れ顔の藤乃をにらみ返した。
「んだよ」
「もう、連れて来なきゃいいのに」
「そうは行かねえだろ」
「まあ、そうなんだけど。美園さん、大人しそうに見えるから、余計に絡まれやすいよね」
「どうしたもんかね」
「ま、そうやって瑞希が威嚇してりゃ、そのうち落ち着くんじゃない?」
「俺は犬かよ」
「番犬みたいなもんだろ」
そうかも。
澪の手のひらで転がされてるし。
帰ったら犬らしく、思いきり舐めてやろう。
ご主人様も、喜ぶだろう。
俺が本当に犬だったら、たぶんめちゃくちゃマーキングしてた。
そういう意味では今もあんまり変わんねえけどさ。