『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―
本で読んだ。
噂で聞いた。
画家のデッサン集でその姿を見た。
ユーフォルビアの革命前、
彼女が身に纏ったドレスが
どれだけ街で話題になったかも知っている。

まさか、
その本人が目の前で
お茶を淹れてくれているなんて——。

「シルヴィア・ラノイと申します。ようこそ、エラさん。」
と優しく微笑むシルヴィア。

白銀の妖精に微笑まれた瞬間、
エラの中のファッションへの情熱が
一気に爆発した。

「し、白銀の妖精……本物……。シルヴィアさんっ。あの革命前の最後の肖像画で描かれたドレス、覚えていますか?あれは本当に素晴らしかったけれど、でもまるで美しい鎧のようだって思ってたんです。もっと、女性を縛らない形はあるはずなんです!」

勢いそのままに、
エラは早口でまくし立てた。

「バイロンのデザインは確かに美術的価値はあった。斬新でユニークで、見るものを楽しませるエンターテインメントは十分にあります。
でも、あの重さ、装飾の多さ、締め付け……
女性を“飾りとして閉じ込める服”だわ!

私は違うものを作りたいんです。
私の服を着た女性が、自分の人生を堂々と歩けるような……
そんな、自信を与える服を作りたいと思っています。」

熱に浮かされたように語るエラを、
シルヴィアもエルヴィンもクラウスも
ぽかんと見つめていた。
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