元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
(えっ、「この次」に反応しないんだ・・・。)


ちょっとしたトラップをセットしたつもりだったのに、何事もなかったかのように受け入れられて、湊は驚くやら、でも嬉しいやら・・・。


このあとも、ふたりは、主に和那のリードで、会話を弾ませながら、料理を食べ終えた。


食後のコーヒーを飲みながら、湊がふと、和那の顔を見る。


「どうしたの?」


その視線に気づいて、和那が尋ねると


「今日の南澤さん。」


「うん?」


「楽しそうだね。」


湊は言う。その言葉に、一瞬キョトンとした表情を浮かべた和那だったが、すぐに


「うん。」


頷くと満面の笑みで、湊を見た。その笑顔に


(この人には・・・かなわない。)


湊は正直に思った。


そんな彼の心の内に、当然気付くはずもなく


「じゃあ、そろそろ行こうか。」


窓の下に見える、大勢の人が行きかう交差点の光景に、チラリと視線を送ったあと、和那は、席を立った。
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