元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
◇◇(湊 独白)
俺は大学時代、『Riot Beat』というバンドのボーカル兼ベース、そしてリーダ-だった。『Riot Beat』はインカレバンドの世界じゃ、ちょっとは名の知れた存在で、大学間で行われる合同ライブじゃ、しばしばトリを取ったし、ライブハウスに出演すれば、俺たち目当ての客が押し寄せる・・・とまでは行かないが、まぁそれなりの人気は博していたんだ。
プロへの誘いもなかったわけじゃないし、俺だって、その世界に憧れてなかったわけでもないけど、でもそれは現実的な話ではないと、冷静に判断している自分がいた。親からは堅実な道を歩めと、耳にタコが出来るほど、言い聞かされていたし。なにより同じ軽音部の2年先輩で、在学中からプロに転向した神崎蓮さんの姿を見て、プロになれる人というのはこういう人なんだと思い知らされていたからだ。
だから、蓮さんが卒業し、自分も3年生になると、俺は躊躇うことなく、バンド活動を中断し、就活に没頭した。その甲斐あって、4年に上がる頃には、希望の職種に内定が決まり、卒業に必要な単位もほぼ取得していた俺は
(これで残り1年、思う存分、バンド活動に打ち込める。)
俺は心、弾ませたものだった。実際、俺たちのバンドは思う存分に1年を駆け抜け、暮れの卒業ライブを迎えることになった。
あの日のことは、今でも忘れることが出来ない。4年間、鎬を削り、切磋琢磨して来た同世代のバンドたちが、次々とラストパフォ-マンスを披露して行く。そして、演奏が終わると、ある者は涙を流し、ある者は言葉にならないような声で絶叫し、それに観客たちが大歓声と拍手を送る。寒さなんかぶっ飛ばすような熱狂の舞台の最後を飾るべく、『Riot Beat』はステ-ジに飛び出して行った。
あらん限りの力を振り絞って、俺は歌い、俺たちは音を奏でた。最後の曲が終わり、メンバ-と抱き合い、そしてマイクの前に立った俺は
「みんな、今日は本当にありがとう。じゃ、さよなら!」
万感の思いを込めて、観客に告げると、ステ-ジを降りた。
(やり切った・・・。)
そんな思いが、俺の身体の中を駆け巡っていた。
俺は大学時代、『Riot Beat』というバンドのボーカル兼ベース、そしてリーダ-だった。『Riot Beat』はインカレバンドの世界じゃ、ちょっとは名の知れた存在で、大学間で行われる合同ライブじゃ、しばしばトリを取ったし、ライブハウスに出演すれば、俺たち目当ての客が押し寄せる・・・とまでは行かないが、まぁそれなりの人気は博していたんだ。
プロへの誘いもなかったわけじゃないし、俺だって、その世界に憧れてなかったわけでもないけど、でもそれは現実的な話ではないと、冷静に判断している自分がいた。親からは堅実な道を歩めと、耳にタコが出来るほど、言い聞かされていたし。なにより同じ軽音部の2年先輩で、在学中からプロに転向した神崎蓮さんの姿を見て、プロになれる人というのはこういう人なんだと思い知らされていたからだ。
だから、蓮さんが卒業し、自分も3年生になると、俺は躊躇うことなく、バンド活動を中断し、就活に没頭した。その甲斐あって、4年に上がる頃には、希望の職種に内定が決まり、卒業に必要な単位もほぼ取得していた俺は
(これで残り1年、思う存分、バンド活動に打ち込める。)
俺は心、弾ませたものだった。実際、俺たちのバンドは思う存分に1年を駆け抜け、暮れの卒業ライブを迎えることになった。
あの日のことは、今でも忘れることが出来ない。4年間、鎬を削り、切磋琢磨して来た同世代のバンドたちが、次々とラストパフォ-マンスを披露して行く。そして、演奏が終わると、ある者は涙を流し、ある者は言葉にならないような声で絶叫し、それに観客たちが大歓声と拍手を送る。寒さなんかぶっ飛ばすような熱狂の舞台の最後を飾るべく、『Riot Beat』はステ-ジに飛び出して行った。
あらん限りの力を振り絞って、俺は歌い、俺たちは音を奏でた。最後の曲が終わり、メンバ-と抱き合い、そしてマイクの前に立った俺は
「みんな、今日は本当にありがとう。じゃ、さよなら!」
万感の思いを込めて、観客に告げると、ステ-ジを降りた。
(やり切った・・・。)
そんな思いが、俺の身体の中を駆け巡っていた。