元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
⑦もう逃げない
和那が1つの決意を胸に秘め、ネクストリンクのオフィスに出勤して始まった新たな週。でも、彼女が望むシチュエ-ションはなかなか訪れてはくれない。
その優秀な能力と行動力を、和那はフルに発揮することを、会社から期待されていたし、故に彼女は今日も多忙だった。そして、一方の湊も、もはや以前の彼ではない。相変わらず目立たない、無駄口は少ない、そして少し猫背でパソコンへ向かっている。
でも、会議で意見を言うようになったし、周囲と必要なコミュニケ-ションをとり、協力して事に当たる様子を目にすることも増えて来た。彼は確実に変わった、進歩した。でもそれはネクストリンクのビジネスマンとしての彼であり、彼が本当にそれを望んで日々を過ごしているのかという、和那の疑問は解けないまま、3日が過ぎて行った。
そして・・・
その日、終業時刻を過ぎたオフィスは静かだった。昼間は絶え間なく鳴っていた電話も、今はもう鳴らない。キーボードを叩く音だけが、広いフロアにぽつりぽつりと響いている。。
和那はパソコン画面を見つめたまま、小さく息を吐くと、顔を上げる。
気付けば、フロアにはもう二人しかいなかった。数メートル先、湊が黙々とパソコンへ向かっていた。画面の光がその横顔を照らしている。気付けば、和那は呼び掛けていた。
「朝比奈さん。」
「はい。」
湊が顔を上げた。
「終わらないの?」
和那の問いに、時計を見た湊は
「うわ、もうこんな時間ですか。全然気づかなかった。」
そう言って、苦笑いを浮かべると
「そろそろ切り上げます。」
と答える。すると
「そう。じゃ少し、話せる?」
和那が言うと、一瞬、ほんの少しだけ、彼の目が揺れた気がした。
その優秀な能力と行動力を、和那はフルに発揮することを、会社から期待されていたし、故に彼女は今日も多忙だった。そして、一方の湊も、もはや以前の彼ではない。相変わらず目立たない、無駄口は少ない、そして少し猫背でパソコンへ向かっている。
でも、会議で意見を言うようになったし、周囲と必要なコミュニケ-ションをとり、協力して事に当たる様子を目にすることも増えて来た。彼は確実に変わった、進歩した。でもそれはネクストリンクのビジネスマンとしての彼であり、彼が本当にそれを望んで日々を過ごしているのかという、和那の疑問は解けないまま、3日が過ぎて行った。
そして・・・
その日、終業時刻を過ぎたオフィスは静かだった。昼間は絶え間なく鳴っていた電話も、今はもう鳴らない。キーボードを叩く音だけが、広いフロアにぽつりぽつりと響いている。。
和那はパソコン画面を見つめたまま、小さく息を吐くと、顔を上げる。
気付けば、フロアにはもう二人しかいなかった。数メートル先、湊が黙々とパソコンへ向かっていた。画面の光がその横顔を照らしている。気付けば、和那は呼び掛けていた。
「朝比奈さん。」
「はい。」
湊が顔を上げた。
「終わらないの?」
和那の問いに、時計を見た湊は
「うわ、もうこんな時間ですか。全然気づかなかった。」
そう言って、苦笑いを浮かべると
「そろそろ切り上げます。」
と答える。すると
「そう。じゃ少し、話せる?」
和那が言うと、一瞬、ほんの少しだけ、彼の目が揺れた気がした。