時をこえて君に会えるまで
私は最近よく同じ人の夢をみる。
その夢は昔の時代なのか
夢に出てくる人や私は着物を着ている。
夢の中の私はいつも
1人の男の人を一途に想っている。
とても優しく笑うその人と話せる時間が
とても幸せな時間だということが
夢だけれど伝わってくる。
いつもそこで終わってしまうので、
私はとっても続きが気になってしまう。
しかし、今日は早く起きないといけない。
おじいちゃんおばあちゃんの家の
お片付けをお手伝いしに行くんだ。
おじいちゃん達は
肩が痛かったり足が痛いので
代わりにお片付けをして
綺麗なお家で過ごせるようにしてあげたい。
そう思いながら身支度をして
お母さんと車でおじいちゃん達の
お家に向かった。
お家に着いて
おじいちゃん達と久しぶりだねと
楽しくお話ししてから、早速お片付けを開始する。
ほうきで溜まった埃を掃き出したり
雑巾掛けで床をピカピカにした。
その後
押入れの中の物を整理していると、
一封の綺麗な桜のお手紙が出てきた。
誰のものだろう、この綺麗なお手紙。
おじいちゃん達のものかな。
そう思い、おじいちゃんおばあちゃんに
この綺麗なお手紙を見せに行く。
「これは昔のご先祖様のもので
とても大切に想っていた人へのお手紙なんだ。
読んでみるといいよ。
とても素敵なお手紙だから。」
おじいちゃんとおばあちゃんは
優しく教えてくれた。
桜が見える、綺麗にしたお家の縁側で
このお手紙の封を開けてみた。
すると
「貴方の幸せを願っています。」
宛名も差出人も書かれていなくて、ただその一言がとても丁寧に筆で書かれていた。
なぜかとても懐かしくて、優しい字だった。
おじいちゃんはさらに教えてくれた。
「このお手紙はご先祖様が
とても大切に想っていたけれど、
他の人とお見合いをして
結婚しなければならなかった人に
向けて書いたんだ。
貴方が他の誰かと結婚しても
貴方がただ生きて幸せでいてくれることを
願っています。
そんな想いを込めて大切な人へ書いたけれど、
その人を想っていたからこそ渡さなかったんだ。
いつかこの手紙がどんな形でもその人に届けば
いいなと思って残しているんだよ。」
この話を聞きながら私はなぜか
ずっと夢の優しげなあの人のことが
頭に浮かんでいた。
涙が出てくるようなそんな気持ちになる。
「おじいちゃん。
きっとその手紙の想いは大切に思っていた人へ
届いた気がする」
私は、縁側から見える桜を見ながら
夢でみた優しげなあの人を
想い浮かべていた。
