婿入りの顛末
抜け殻になった王子様 -カーター視点-
一番先に瞬きを再開したのはルーカスだった。
それを見て我に返った俺はセドリック殿下を見ることが出来なかった。
なんでって、セドリック殿下はソフィア嬢に心底惚れている。
ソフィア嬢の婿になって侯爵家に入れることに浮かれていた。浮かれ倒していたと言って良い。
その浮かれ様を両陛下も、ソフィア嬢の父であるユーハイム侯爵も知っている。
王の器たる第一王子が王太子になることに誰も異論はなく、セドリック殿下は次期宰相として王家を支える為に宰相を務めるユーハイム侯爵の下で宰相補佐として活躍していた。
そんなある日、デビュタントの会場でソフィア嬢に出会ったセドリック殿下は、一目でソフィア嬢に釘付けになった。
スレンダーな長身に黒髪に翠の瞳の美女で、とにかく所作と立ち居振る舞いが美しい。
侯爵家の跡取りでなければ王太子妃に望まれていたと噂で聞いていたが、これほどとは思わなかった。
それ以来、セドリック殿下はソフィア嬢に夢中で、ユーハイム侯爵家へ婿入りの打診に条件も聞かずに即答し、両陛下から決定の内示があった時には2時間ほど号泣していた。さすがにこれにはドン引きだった。
それ以来、俺たち三人の話題はソフィア嬢への賛辞のみといっても過言ではない。
「あんなに小柄で可愛い子ばっかり好きだったのに?」
「儚げで小柄な子が可愛いらしくて良いなと思っていたんだよ。」
「あそこまで愛想も愛嬌も無いのは自衛のためでしょうね。」
「そうだよ!ソフィアが笑いかけると男たちが勘違いするじゃないか。そんなのだめだ!
ソフィアの笑顔は僕だけのものだから。」
「愛想も愛嬌も無くても令嬢令息たちの羨望の的ですよ。」
「話していても見惚れてしまって内容が頭に入ってこないな。」
「見た目だけじゃないんだよソフィアは。話す内容も考え方も本当に素敵なんだ。
結婚式が楽しみで仕方ないんだけど、女神よりも美しい花嫁姿だろうと思うと、誰にも見せたくないけど、自慢もしたい!」
宰相閣下の執務室で、休憩の度に毎日繰り広がる3人の会話に、周囲も将来セドリック殿下の義父になるユーハイム侯爵でさえも生暖かい目を向けている。
殿下が本当に幸せそうで、俺たちも周囲もみんな幸せだったんだよ。
セドリック殿下、天国から地獄へ自らダイビングしてしまった衝撃は理解する。
とりあえず瞬きしてくれ。
それを見て我に返った俺はセドリック殿下を見ることが出来なかった。
なんでって、セドリック殿下はソフィア嬢に心底惚れている。
ソフィア嬢の婿になって侯爵家に入れることに浮かれていた。浮かれ倒していたと言って良い。
その浮かれ様を両陛下も、ソフィア嬢の父であるユーハイム侯爵も知っている。
王の器たる第一王子が王太子になることに誰も異論はなく、セドリック殿下は次期宰相として王家を支える為に宰相を務めるユーハイム侯爵の下で宰相補佐として活躍していた。
そんなある日、デビュタントの会場でソフィア嬢に出会ったセドリック殿下は、一目でソフィア嬢に釘付けになった。
スレンダーな長身に黒髪に翠の瞳の美女で、とにかく所作と立ち居振る舞いが美しい。
侯爵家の跡取りでなければ王太子妃に望まれていたと噂で聞いていたが、これほどとは思わなかった。
それ以来、セドリック殿下はソフィア嬢に夢中で、ユーハイム侯爵家へ婿入りの打診に条件も聞かずに即答し、両陛下から決定の内示があった時には2時間ほど号泣していた。さすがにこれにはドン引きだった。
それ以来、俺たち三人の話題はソフィア嬢への賛辞のみといっても過言ではない。
「あんなに小柄で可愛い子ばっかり好きだったのに?」
「儚げで小柄な子が可愛いらしくて良いなと思っていたんだよ。」
「あそこまで愛想も愛嬌も無いのは自衛のためでしょうね。」
「そうだよ!ソフィアが笑いかけると男たちが勘違いするじゃないか。そんなのだめだ!
ソフィアの笑顔は僕だけのものだから。」
「愛想も愛嬌も無くても令嬢令息たちの羨望の的ですよ。」
「話していても見惚れてしまって内容が頭に入ってこないな。」
「見た目だけじゃないんだよソフィアは。話す内容も考え方も本当に素敵なんだ。
結婚式が楽しみで仕方ないんだけど、女神よりも美しい花嫁姿だろうと思うと、誰にも見せたくないけど、自慢もしたい!」
宰相閣下の執務室で、休憩の度に毎日繰り広がる3人の会話に、周囲も将来セドリック殿下の義父になるユーハイム侯爵でさえも生暖かい目を向けている。
殿下が本当に幸せそうで、俺たちも周囲もみんな幸せだったんだよ。
セドリック殿下、天国から地獄へ自らダイビングしてしまった衝撃は理解する。
とりあえず瞬きしてくれ。