婿入りの顛末

エピローグ -執事長視点-

お嬢様が次期女侯爵になられることが決まって以来、執事長として最後のご奉公と思い、後を任せる執事たちや使用人たちを育てるべくこの老体に鞭打って誠心誠意お仕えして参りました。

5年前、婿に決まった王子殿下が、我らがお嬢様の麗しいお姿がお気に召さないなどと宣いやがった日、家中一同が氷点下の態度に徹したのは今では懐かしい思い出でございます。

その翌年に婿入りされたセドリック様と夫人となられたソフィアお嬢様の仲は大変睦まじく、
2回目の結婚記念日にお嬢様のエレノア様が、そしてつい先日お世継ぎのルパート様がご誕生になりました。
セドリック様の側近として移籍してきたルーカス様とカーター様は有能でありながら朗らかで明るく、使用人たちともすぐに打ち解けて和気藹々と侯爵家の執務と護衛に当たっています。

そして一緒に引っ越してきたお犬様たちの愛らしい事と言ったら。
旦那様をはじめ家中皆魅了されてしまい、今ではお世話を奪い合う有様です。
侯爵家は幸せに満ちた明るく穏やかな雰囲気に包まれています。

先頃、若奥様の妊娠中に若旦那様が新しいお犬様をお連れになりました。
若旦那様の腕の中ですやすや眠る様子を見て、若奥様が悩まし気にため息を吐いておられます。

「旦那様、いくらわたくしの妊娠中にさみしいからと言って、新しい方をお迎えになるなんて」

若旦那様は顔色を変えてお犬様を私に預けると、若奥様の前に跪いて愛を囁いています。

これから先、私は何度この幸せな光景を目にすることが出来るでしょうか。
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