日本語が拙い外国人と恋仲になりました

22・再会

 それから、数時間が経った。道を歩く観光客の数も増えてきて、川を行き交う船も絶え間なく列を作っている。
 現実は、ドラマのようにロマンティックに物事が展開するわけじゃない。 
 私がメッセージを送ってしばらく経っても、チョウさんから返事が来なかった。
 一時間、二時間待っても音沙汰なし。
 チョウさん、どうしたんだろう……。
 痺れを切らせた私は、仕方なく電話をかけてみることにした。
 これ以上、時間を無駄にしたくない。明日には上海を発つ。私たちに残された時間は僅か。
 石段に腰かけ、楽しそうに遊歩道を歩く人々を横目に、私は電話ボタンをタップする。
 スマートフォンから響き渡る呼び出し音。規則正しく高い音を奏でて私に耳打ちするが、求めている声だけは一向に聞こえてこない。
 十コールほど鳴ったあと、私はそっと取消ボタンをタップした。そのときの感情は、まるで「無」だ。
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