日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 話したいこと、色々あるのにな。
 次はいつ会える? トウリョウさんはこれからどうするの? 日本にまた来る気はない?
 その他にも訊きたい。けれど、焦ってはいけないと思った。
 お母さんが亡くなってから日が経っていないもの。彼の考えや都合があるだろうし、何よりも一人暮らしのお父さんの件もある。 
 私のわがままで「そばにいてほしい」とは伝えてはいけない。
 だから、せめて笑顔でお別れをしよう。たとえ遠距離になっても、彼となら大丈夫……。言いようのない不安はあるけれど。
 私はそっと、彼の指先をほどいた。

「それじゃあ、トウリョウさん……お元気で」

 私のひとことに、彼は一瞬だけ憂いある表情を浮かべた。でもすぐに、いつもの愛らしい顔になるの。

「ミキさん。ちょっといいですか?」
「なんですか?」
「これを、アナタにプレゼントします」

 彼は持っていた鞄の中から紅い包装袋を取り出した。それを、さっと私に差し出す。

「アナタのための围巾です」

 ──围巾。マフラー?
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