日本語が拙い外国人と恋仲になりました
 そう思ったけど、予想を裏切るように菅原くんは急に真顔になった。

「俺も嬉しいんっすよ。村岡さん、以前に比べてめちゃくちゃ明るくなりましたから」
「え……そう?」
「そうっすよ。やっと前を向けたんだなぁって、見てて分かるっす。それに、ずいぶん綺麗になりましたよね! いやぁ、愛の力はすごいなぁ!」

 と言うと、菅原くんはまたもやニヤニヤ顔で私を見つめる。
 ああ、やっぱりこの子は変わらないわ……。
 私はわざと大きなため息をつく。

「まったく。大人をからかうのも大概にしなさいよ」
「俺は本当のことを言ってるだけっすよ! 村岡さんには幸せになってもらいたいんですから! これからも応援してるっす」
「はいはい、ありがとうねー」

 適当にあしらい、私はスタッフルームをあとにしようとドアノブに手をかける。
 すると、菅原くんは最後にこんなことを言ってきた。

「村岡さん。もう過去のことなんか完全に忘れてくださいよ? 今の幸せを大事にしてくださいね」

 ドアを開け、顔だけ菅原くんの方に向けて答えた。

「分かってるわよ。そんなの、当たり前でしょ?」
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