日本語が拙い外国人と恋仲になりました

16・臆病を誤魔化す言い訳

 チョウさんと通話を終えた後、私は何も手につかなくなった。何を言っているのかよく分からない番組をぼんやりと眺め、一日が終わってしまったのだ。
 上海にまで来て、何をやっているんだろう。


 三日目の昼過ぎ。私は一人、外滩へ来ていた。
 時間を無駄にするのはよくない。
 地下鉄に乗り込み、騒がしい電車に揺られながらここまで来た。
 平日の外滩は、やはり人が多かった。実際に訪れると、想像よりも遥かに近未来的な場所に感じた。広大な遊歩道を歩きながら、川沿いの向こう側を眺める。
 巨大なビルが立ち並び、その中心には天まで届きそうな巨大なタワーが聳え立っている。あれは、チョウさんが話していた东方明珠だろう。塔の中心にある紫の円柱部分は展望台かな? 日本にはないデザインに見惚れそうになる。
 遊歩道には、たくさんの観光客がいた。中国人はもちろん、欧米らしき人たちも見かけた。みんな写真を撮ったり、階段で寛いだり、食べ歩きをしたり、思い思いに過ごしている。

 私は──たった独り、無表情で周辺を眺めるだけだ。

 初めての海外旅行なんだから、もっとこう、感動したりしたいのに。昨日のことがずっと頭の中に残っていて、あまり楽しめていない自分がいた。
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