日本語が拙い外国人と恋仲になりました
「あ、あの……チョウさん。助けていただいてありがとうございました……!」
「いいんですよ。ムラオカさん、なかなか戻ってこなくて、ワタシは心配しました。一人で行かせてしまい申し訳ない」
「チョウさんは悪くないですよ! ああいったお客様の対応もきちんとしないといけないのに、未熟ですみませんでした」
「いえいえ。理不尽なお客様には厳格に対応すればいいだけです。もしもここが中国だったら、ワタシは彼に怒鳴りつけてたでしょうね」

 ははは、と乾いた笑い声で冗談(だと思う)を口にするチョウさんに、圧倒されてしまう。
 でも──とても頼りになるとも感じて。

「本当に、ありがとうございます」

 この日、チョウさんへの見方がちょっとだけ変わった気がした。
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