星空の下の花畑で
今日の夕方突然一本の電話が来た。

「今日の夜、連れて行きたい場所があるんだ。来てくれる?」

昔からの幼なじみからの連絡だった。

「いいよ」
「じゃあ僕の家集合ね」

最近、ユウとは大学生になってからあまり会えていなかった。

私は学校の勉強と友達関係の悩みで
心と体がクタクタだった。

でも、久しぶりにユウに会えるのは
とても楽しみだったから嬉しかった。

夜の7時にユウの家に集合した。

「久しぶり、元気にしてた?」

「そっちこそ。突然なのに来てくれてありがとう」

「今日行くのは僕のおすすめの場所なんだ。ここから少し歩いていくよ、寒くない?」

「うん、着込んできたから大丈夫」

星が瞬いている夜空の下で、
2人で少し距離を空けて一列で歩く。

少し背の高いユウが前を歩く。

空気が冷たくて息が白くなる。

鼻が少し赤くなっている気がする。

「この階段を登った先にあるんだ。
疲れてない?」

「大丈夫。楽しみだね。」

ユウに大丈夫と言ったけれど疲れているのが
分かったのか、手を繋いで一緒に登ってくれる。

優しいところが全然変わってない。

「着いたよ」

「綺麗。」

この言葉しか出てこないくらい綺麗だった。
澄んだ冷たい秋の空気に

綺麗な満天の星空

足元には床一面に色鮮やかなコスモスが
風に揺れて咲いていた。

「最近疲れてそうだったから、
この景色を見せたかったんだ。」

ユウが微笑んで言った。

ユウの色素の薄い柔らかい茶色い髪が風に揺れている。

「ありがとう」

目が少し潤みながらも、涙を堪えて笑顔で言った。

しばらく2人で近くのベンチに腰掛けて、この景色を見ていた。

しばらくして私から話し始めた。

「周りの子がたくさん頑張っているのを見て、
私も頑張らなくちゃって焦ってたんだ。」

「僕は思うんだけどね、
お母さんお父さんやおじいちゃんおばあちゃんが
いてくれたから
僕たちは生きてる。

そんな大切な人たちが繋いでくれた命を
大切に生きているだけで
十分頑張っていると思うよ」

ユウの言葉を聞きながらこの景色を見ていたらなんだか入れていた力が抜けて、ホッとした。

「私そんなに焦って頑張らなくても
十分頑張ってたんだね」

ユウが微笑みながら私の話を聞いてくれている。

明日からは
入れすぎていた力を抜いて、
自分のペースで歩いていこう。

そう思いながら、
ユウとこの綺麗な景色を見ていた。
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