Naked Love〜涙の跡を舌で辿る時〜
赤と白と不可能な色。

指先の微熱、ただ貴方が恋しくて

ぴぴっぴぴっ


ベッドサイドに置いたスマホのアラームが、私の深い眠りの終止符を告げる。

「ん〜…、ふぁ、ぁ…起きないとー」

何時も通りの朝の起床時間。

その時間は五時半。

メイクはナチュラル派だから、然程時間はほとんど取らない。
ただきちんとした朝食をしっかり食べて、ゆっくりコーヒーを飲んで自分を整え、仕事のカバンにちゃんと入っているか確認して、私は身支度をする。


我社は、オフィスカジュアルだから、まぁまぁ日々着る服に悩む。

先輩達がとってもお洒落だから、余計に、だ。

今日は紺のミモザ丈のプリーツスカートに、白のタートルネックのセーターと、ジャケットを着て、その上にコートを羽織る事に。

白のフリルリボンのブラウスとも見比べたが、プリーツにフリルでは被ってしまって、ちょっとアンバランスだったから、より大人カジュアルになる様今日は少しだけ背伸びをする事にした。


パンプスは、スカートに合わせた。
トレンチコートは、隙を見せないエーラインを羽織る。
もふもふのワインレッドとホワイトのチェク柄のアクセントがあるマフラーを最後に装着して身支度を終える。

六時半。

玄関の姿見の前に立って全身を組まなくチェックする。
それで、自分なりに納得ししたら、そのままドアを開けた。

早番と言う訳ではないんだけど、空いているバスに座って乗りたいし、朝から人混みにもみくちゃにされるのは勘弁させて頂きたいので、なるべく早朝出勤を心掛けている。


エレベーターに乗り込んで、扉が開くのを待つこと二分。

ウィーン

自分の部屋の階、七階から降りるエレベーターが、エントランスに無機質な音と共にゆっくりと開く。

私は其処から迷いなく、流れるようなスピードでマンションの外へと出た。

と、其処に現れた影は…今最も会いたくない悠久くんの姿で、私の顔は思い切り顰め面になった。
朝からなんで、この人の顔なんて見なくちゃならないんだろう。

私は、下を向き彼の横を擦り抜ける様にして足早にバス停へと向かう。

でも、体格差のせいでコンパスの長い彼に直ぐに追い付かれ、昨日と同じ様に名前を呼ばれる。
私の進行方向に回り込んで、にっこりと微笑むと柔い声で挨拶をされた。


「希子ちゃん、おはよう」

「………」

「ねぇ、俺の事覚えてる?悠久だよ?悠久。希子ちゃんの…」

「…私の何ですか?"一応"覚えてますけど、それは昔の話です。失礼します」


かつんっ


な、ん、だ、

このチャラい男は。
私はこんな人なんて全く知らない。
…そもそもこんな事は、知りたくもなかった。

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