Naked Love〜涙の跡を舌で辿る時〜
かしかしとタオルで髪を乾かしながら、ノートパソコンをゆっくり開いて、一呼吸。

共有して資料を眺めて、んー…。
と、悩む事数分。

こりゃ、コーヒーでも淹れながら進めようかな。
なんてのろのろとこたつから這い出てから立ち上がる。

ふと、コーヒーが飲めるようになったのは、何時からだったかと、お湯を沸かす数分、キッチンの近くの柱に腕を組んで記憶を辿る。

元々は甘さMAXのいちごミルクのパックジュースが、大好きだった筈。
そこから、低糖の紅茶にハマッて…今じゃブラックコーヒー専門だ。

…、そっか。
彼を忘れる為にどんどん自分を変えていって、今の私がいるのか。


「は…っ、こんな所まで侵食して来るんだね…。最悪」


そんな可愛げの欠片もない、刺々しい台詞を零してから、マグカップに並々と注ぎこたつへと戻った。

カチ、カチ、

あれこれ、画面をマウスで動かしてレイアウトを変形させながら、出来上がりの最終形を想像する。

別にワーカーホリックではないけれど、やると決めたらとことん時間を割いて完成させたいタイプ。

偶に、仕事が進み過ぎている事がバレて、小さなお説教を受ける事はあるけれど…でも、それすら私の仕事への活力になっている。

充実した毎日。
勿論、偶に訪れる寂しさの影に涙する事もあるけれど、それでも幼かった私も歳を重ねて、初恋の苦味を飲み込める様には…なんて来た筈だ。

思い付きの優しさなんていらない。
それがまた…、この胸に火を灯すかもしれないとしても、昔のままの私ではないから。

絶対に、そう安々と簡単に靡く事はないだろう。

所詮、私の"初恋"は儚く散ったのだから。

散った心は、もう二度と戻らない…。

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