秘密な恋愛
家を出て、 駅へ向かう二人。
休日いうこともあり、
駅は思った以上に人が多かった。

「人多いね···」
少し不安そうに
周りを見る芽依。

今日はいつもより大人っぽい服に、
由奈がしてくれたメイク。

視線が集まっていることに、
芽依自身は気づいていなかった。

でも
佑陽は気づいていた。
(見すぎだろ···)

すれ違う男の視線。
ちらっと振り返る人。
小さく舌打ちしそうになるのを堪える。




電車の中は、人でいっぱいで、

「わっ…」
混雑した車内で、
芽依の体がぐらつく。

その瞬間。
佑陽の腕が 芽依の肩を引き寄せた。
トン、と壁側へ。

芽依を囲うように、 片手をつり革、
もう片方を芽依の横の壁へつく。
完全に逃げ場のない距離。

「佑陽くん···?」
「動くな」

低い声。
芽依に人が当たらないように
全部、 佑陽が受け止めていた。


「大丈夫?苦しくねぇ?」
「う、うん··」
近すぎて、 芽依はまともに顔を上げられない。

その時。
隣に立った男性の視線が
芽依に向いたのを感じた瞬間。

佑陽はさりげなく
芽依の頭を自分の胸へ引き寄せた。

ドキ··
(えっ··?)

「こっち向いとけ」
耳元で小さく囁く。
外から見れば、
完全に恋人を守っている体勢だった。


(やだ···)
まだ始まったばかりだというのに。
心臓がもたない芽依。
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