影が輝る
「何か、用かな?」

廊下の空気がピンと張り詰めている。
周囲の生徒たちも、息ひそめてうかがっている。

「…俺、山本幹也」

桜井彩織はなんだ?という表情をしていた。

「テスト」「1点差だった。」

ほんの一瞬の沈黙。

すぐに桜井彩織は柔らかい笑顔を浮かべた。
そして一言

「よろしくね、ライバルくん。」

と放った。
ムカつくはずなのに、悔しいはずなのに。
その言葉は、なんだか胸に刺さった。

…よくわからない。

でもひとつだけはっきりしたことがある。

「次は、負けない」

あの笑顔のまま、1位でいられたら、

ーーーーそれだけは、絶対に嫌だった
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