月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
「皇子と桐杏が結婚したら、国民は祝福すると思います。后になる女性の生まれって、そんなに重要でしょうか? 桐杏がどこの生まれとか、ほとんどの人間にはわからないのに。顔に書いてあるわけじゃないのですからね」
「……」
陽気に喋る風来念を前に、寧丸は黙って聞いていた。
「今日の夜はどこかの宿に泊まりましょうか。あっ、俺、出発の前に、そこの便所に行ってきます」
風来念はふたりのもとから離れる。
「桐杏、今夜はふたりで――」
寧丸はすかさず桐杏の手を取った。寝よう、と言いたいのだろう。桐杏もふたりだけの夜を想像し、どきどきとする。いつもと違って、朝まで寧丸と過ごせることだろう。
