月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
桐杏はそう言って、自分のほほに手を添える。自分の目の大きさが左右で違うことに気がついたのは、六歳の時。他人がひと目見てわかるほどでないわずかな差だが、本人はひどく落ち込んだ。それ以来、桐杏は鏡で自分の顔はまじまじと見ないようにしている。だけれど、島にいた時、たまに気になって、目の大きさを見比べてしまっていた。
「桐杏、人間の顔はむしろ完全な左右対称でないのが当たり前だ。私はそなたの目を見て左右非対称だと思わなかったが――そう言われると、右と左のわずかな違いを見比べるように、その目をじっと見たくなる。そうして、人の心は桐杏の顔立ちに誘い寄せられるのだろう。それこそがそなたの顔の魅力だ」
「寧丸さま……」
寧丸に自分の顔を両手で掴まれた上に、劣等感を抱いていた部分をよく言われ、桐杏はうっとりとする。