激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する
その夜。

ルチアの“帰り支度事件”を
侍従から聞かされたビンセントは、
表向きはいつも通りの無表情だが
――内心は大荒れだった。

(なぜ帰る? なぜだ。
 まだ、俺は……ルチアと話したいことがたくさんあるのに。)

侍従が恐る恐る言った。
「陛下……このままではルチア様は本当にお帰りになってしまわれます。お気持ちを、少しでも……お伝えになってはいかがでしょうか。」

その瞬間、
ビンセントの中で何かが“決壊”した。

「…………侍従長。
 “気持ち”とは……やはり言葉にしなければ伝わらんものか?」

「当然でございます!!!
 相手は皇帝陛下の心の声を機敏に察するような御方ではございません!!!」

「………………チッ。分かった。行く。」
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