激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する
「“田舎娘”で悪かったわね。」

ルチアは微笑んだ。
しかしその目には、鋭い光。

「確かに私は辺境の国の出身。でも——」

一歩前に出る。

「だからこそ知っているのよ。
 人々がどう生き、どう苦しみ、どう明日を信じて働くか。広大な帝国は“偉い家柄の人間”だけでは動かないわ。
真面目に働く一人ひとりの力で成り立っている。
それを理解できない人が、皇后を語るなんて滑稽ね。」

貴族たちが言葉を失う。
彼女が意見している相手は、
帝国貴族の中でも名だたる名門家の
当主たちなのだ。

ルチアは一切怯むことなく続ける。
「それに、あなたたち勘違いしているわ。
 皇后の仕事は“飾り”じゃない。
 外交、民政、宮廷運営……帝国の未来そのものを担う立場よ。私は逃げないし、怯まない。やるべき仕事は、全部やるつもり。」

さらに微笑み——

「そんな簡単に私が務まらないと思う?
 ……随分、私のことをナメてるのね。」

その瞬間、空気が震えた。
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