激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する
ルチアが一通り言い切ったあと、
ビンセントが静かに前に出る。
「——以上が、彼女の言い分だ。」

大広間の空気が凍り付く。

「私はすべて同意する。
 そして私は、ルチア・アズールティアを“帝国皇后”として迎えることを決めた。誰の許しも必要ない。」

冷ややかに見下ろす視線は、
“帝国の皇帝”そのもの。

「不満がある者は明日までに書状を提出せよ。
 ただし覚悟しておけ。
 皇帝に楯突くのなら、その結果も——それ相応のものになるぞ」

大貴族たちの膝ががくりと揺れた。
大広間の空気が静まり返ったあと、
ビンセントがそっとルチアの手を取った。

「……よくやったな。」

「当然でしょ。」
とルチアが照れくさく微笑む。

「あなたの隣に立つんだから。そのくらいは言わせて。」

ビンセントは、
たまらず抱きしめたくなるのを堪え、
ただ、嬉しそうに目を細めた。
「お前って女は……どこまで俺を惚れさせれば気が済むんだ」

こうして——
二人は帝国最大派閥の反対を
堂々とねじ伏せたのだった。
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