気まぐれヒーロー3
「え、ももちゃん知らないの?」
「……何を?」
「ハイジくんもケイジくんも、中学でバスケ部だったんだよ」
「ええっ!?ウソ、部活やってたの!?あの人達が真面目に!?」
「いや~……真面目とは言い切れないけどね。あ、ちなみに俺もハイジくん達と同中でバスケ部入ってましたから~」
「えええええ!!!」
けらけら笑いながら、かっちゃんは衝撃発言を容赦なく私に投げつけてきた。
なんだ……ハイジもケイジくんも、初心者じゃなかったんだ。
まさか、経験者だったなんて……。
「ついでに言うと、白鷹さんも俺らの中学の先輩で……バスケ部のエースだった」
……え?
待って。
今……『白鷹さん』って言った、よね。
ジローさん?
ジローさんが、バスケ部のエース?
「あ、あのジローさんが!?」
無意識に身を乗り出していた。
そうなるのも、仕方ないと思う。
だってジローさんだよ?
キング・オブ・マイペースのベルトを巻いたチャンピオンだよ?
部活で汗流して動き回る姿が……どうしても想像できない。
お兄ちゃんが“ニタローくん”のことをバスケが上手かったとは、言っていたけど。
「……今の白鷹さんしか知らないなら、そう思うのもしょうがないよね」
私の方を向いたかっちゃんの黒目がちな瞳が、ほんの少し陰を帯びたように見えた。
「“普通”って言ったら誤解されるかもだけど……それでも、まだ“あの頃”の白鷹さんは、ちゃんとまっすぐ生きてた」
さっきみたいな浮かれた声じゃなくて。
どこか遠くを見るみたいに、そっと沈んだ調子で。
過去をなぞるように、
失われた輝かしい日々を惜しむように、
その言葉が、静かに胸に降り積もる。
また一つ──
私の知らないジローさんへ、歩み寄る。