気まぐれヒーロー3
「あっれ~!!ももちゃんじゃん!!なんでなんで!?」
ベンチですっかりおばあちゃん化していた私に、突然男の子の明るい声が降ってきた。
おかげで背筋が一瞬でピーンとなった。
しかもこの声……聞き覚えある。と思っていたら。
「マジ俺、ついてるかも~」
確認する間もなく、その声の主は私の横にトスンと腰を下ろした。
「かっちゃん!」
「おっはよ~」
ううっ、ま、眩しすぎる……!
朝からその満開のキューティースマイルは、目にやさしくない。
目を開けることすら困難。
「ちょ、どうしたの!?目にゴミでも入った!?」
「いえ、私の心が汚れてるばかりにこんなことに……」
「な、何言ってるのももちゃん」
なんとか瞼を持ち上げようと頑張る薄目の私が相当キモかったのか、かっちゃんは本気で焦っていた。
かっちゃんが隣であわあわしているうちに、どうにか彼の後光にも慣れて、ようやく普通の視界に戻れた。
「も~、やめてよももちゃん。119にかけるとこだったよ」
「あ……ごめんね」
ぷんすか怒りながら、子どもみたいに口を尖らせるかっちゃん。
君、それはわざとやってるのかい?
思わず微笑みながら、そう聞いてしまいそうになる。
だってキュンキュン爆弾の集中砲火を浴びて、もうキュン爆死寸前なんだから。
「そういえばかっちゃん、いつからいたの?」
「今来たとこだよ」
「そうなんだ」
だよね。
さっき黒鷹のヒヨッコみたいな少年達の中にはいなかったもん。
「つーかさ、ももちゃん!」
「はひ」
いきなり顔をずいっと近づけられて、不覚にもドキッと胸が鳴る。
君イイィ!!なんだい、そのウルウルおめめは!!
そうかいそうかい、そんなに私を爆死させたいのかい!ああ、やるがいいさ!あたしゃ逃げも隠れもしないよ!
「かかってきなさ──」
「俺、ガチでももちゃんリスペクトなんだけど~!!」
……はい?
「聞いたんだって、昨日のこと!白鷹さんやハイジくん達がだよ!?あの五人がだよ!?バスケでももちゃんのために勝負するとかさぁ……マジ奇跡……」
そっか……かっちゃんいなかったもんね。
恍惚と宙を見つめながら、彼はうわごとのみたいに「奇跡……」と呟いていた。