1ヶ月だけ、君の隣で。

第一話 本音と気持ち

 翌日。

 予想はしていたけれど、蓮は、転校早々クラスの中心になっていた。


 「柏見くん、部活は入るの?」

 「背、めっちゃ高いよね~!」 

 「ねえ、LIME交換しよ?」


 教室のあちこちで声が飛ぶ。

 蓮は、人に囲まれても気まずそうにするどころか、明るく笑って答えていた。


 「部活はどうしよっかな~。
 帰宅部のプロ目指してもいい?」

 「背高い?マジか、ありがと!」

 「LIMEは…ごめん、俺持ってない」


 軽口を返すたび、女子たちの笑い声が広がっていく。

 ほんの少し前まで“いなかった”とは思えないほど、自然にこの教室に馴染んでいた。


 (……ああ、やっぱりこうなるんだ)


 清水(しみず)(かなで)は、小さくため息を落とした。
 幼馴染が戻ってきたことは嬉しかった。
 胸の奥がじんわり熱くなるくらい、ほんとうに。

 でも同時に、こうして周りの視線が集まることも、きっと分かっていた。

 蓮は昔から、気さくで、面倒見がよくて、誰とでも仲良くなれてしまうタイプだ。

 人気が出ないほうがおかしい。
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