10分間で訪れた別れと出会い ~待っていたのは、強引な犬系男子の甘やかな求愛でした~

第六話 これが日常(しあわせ)



『今日の占い、一位は牡牛座のあなた! 絶好のお出掛け日和です。思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれません。最高にハッピーな一日になりそう! 幸運の鍵はお気に入りのリップ。ラッキーカラーはピンク! ラッキーナンバーは……」

今日も元気な女性アナウンサーの陽気な声をBGMにしながら、香澄は出掛ける準備をしていた。
そこに、キッチンから助けを求める声が聞こえてくる。

「香澄さん! ちょっときて!」
「えー、どうしたの?」
「卵が、フライパンにくっついて全然とれなくて……!」

一人でキッチンに立っている慎の声には、焦りがにじんでいる。
今朝の食事は慎が一人で用意するというので任せていたのだが――飛んできたヘルプに、香澄はクスクスと笑みを零してしまった。

慎と初めて会話をした日から、もうすぐで一年が経とうとしている。
順調に仲を深めていった二人は、親しい友人関係から、恋人同士になった。
半同棲のような形で、香澄は週の半分ほどを慎の家で過ごしている。
慎的には一緒に住みたいらしいのだが、香澄の住んでいるアパートの方が職場に近いので、話し合いの結果、今の生活スタイルに落ち着いた。
慎は香澄の職場近くに引っ越すと言ってくれたのだが、こんなにいいマンションに住んでいるのにそれは勿体ないし申し訳ないからと言って、香澄が説得したのだ。

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