安心してください、騎士団長様。わたし(雑草王女)との結婚は断固阻止してさしあげます!
 セドリックの素直な賞賛に真っ赤になると、彼はライラの手を取ってその甲に口づけた。

「愛しい人。驚かせたかもしれませんが、どうかわたしの心を受け取ってください。――愛してます。誰よりも。どうかわたしと……結婚してください」

 褒美として望んだが、本音としては、ライラにもセドリックを望んでほしいという彼の言葉に、ライラの目から涙がこぼれた。

「私も、望んでいいんですか?」

 祝福なんてされないのにとしゃくりあげると、セドリックはそっとライラの髪を撫で、その頭を自分の胸に引き寄せた。

「少なくとも、キャスリンと団員たちは喜んでくれますよ」

 ドラゴン討伐に行っている間も、団長の求婚のために頑張るんだが合言葉だったというセドリックの言葉に、ライラの顔にも笑顔が戻る。その様子がありありと浮かび、心の中がホカホカと温かくなった。

「今日あなたと二人きりになれたのも、みんなのおかげなんですよ」

 いたずらが成功したみたいなセドリックの顔に、クスッと笑ってしまう。

「夢みたい」
「夢じゃないです。ライラ様」

「ライラと呼んでください。セドリック様」
「ライラ……」
「はい」
「返事を聞いても?」

 本気でライラの心を欲している英雄に、精一杯の真心を込めて「はい」と頷いた。

「はい。わたしをあなたの妻にしてください」



 そうして初めての口づけを交わした翌日。
 国王との約束にセドリックと二人で訪れたライラは、褒賞の取り消しの代わりに心からの礼を伝え、父親を驚かせた。

 それから半年後――。

 英雄と花のように可憐な第七王女との婚礼に、人々は最初の噂を忘れ、祝福の花びらを撒いたのだった。

Fin
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