天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~
「真っ暗だな。本当にここで取引されているのか?」


四霊の取引現場から少し離れたところで車を降りるが、辺り一帯静けさが漂っている。工場が多いがこれだけ遅い時間ともなると人の気配は感じない。


「今から3つに分かれ3方向から責める。四霊もそれなりに準備をしている可能性があるから気を抜くな。少しでも物音がしたらやつらを疑え。」


入り口の近くまで行くが、中から物音は聞こえてこない。


本当にここにいるのか……?


「かける、壱嘉、お前らはここで見張りを。それ以外は中に潜入する。」


中に入ると何かが焦げたようなにおいがした。工場だからなのか“そういう場所”だからなのかは分からないけど、戦場に相応しいことだけは分かる。




カランカラン



「!?」




空き缶が投げられたような音がすると煙のようなものを感じた。


これは催涙弾か?



「なるべく姿勢を低くして深く吸わないように……」




口元を押さえて姿勢を低くするが煙の量が多すぎる。


何人かがむせ始めた。



ドン ドン ドン



「銃声だ!散らばれ!」



兄貴の声ですぐに体が反応した。近くのがれきを盾に体制をととのえる。




「敵数20、総員銃撃を開始せよ!」



私の声で打ち合いが始まった。暗い中での銃戦争は不利だ。ただただ気配を感じる方向へとひたすら銃を撃ち続ける。



敵が撃たれる音、仲間が撃たれる音……心を鎮めれば鎮めるほど聞こえてくる。




「ぐあ……。」




流れ弾が肩をかすめた。とめどなく血がなれていく。


何分……何十分経っただろうか……発砲音が少なくなると工場内の明かりがついた。



「全員……やったのか……?」




見たところ潜んでいたであろう敵は皆血を流し倒れていた。振り返り亜魔野組の連中を見ると半分が負傷しており、数人絶命していると思われた。



「四霊のやつら……わざと明かりをつけやがった。撃ち合いが終わる頃に明るくなるだなんて、計算されているとしか思えない。」

「ひとまず先に進むか?京子、怪我は大丈夫か?」
「これくらい大したことないよ。ひとまず先に……」



ドドドドドドドドド



何かの気配を感じて伏せると激しい銃撃音がした。兄貴たちも慌てて隠れているが、何人かは撃たれている。



「戦争にマシンガンかよ……四霊は大した組だな!」



弾丸を入れ替え、隙間から相手を狙う。



「10時の方向、2時の方向だ!撃ち落とせー!」



持っていた弾丸が半分を尽きる頃、マシンガンの嵐はやんだ。弾丸の消耗、戦闘員の激減……何もかもが計算されているようで腹が立った。



「急いで中へ移動しろ、奴らは1st(ここ)で私たちを全滅させるつもりだ!」
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