Good day ! 5
「翼くん、晩ごはん食べていって」

しばらくしていつもの元気を取り戻した美羽が、キッチンで料理を始める。

翼はその後ろ姿を見守りつつ、考えを巡らせた。

美羽の作ったビーフシチューを食べながら、翼は真剣に話し出す。

「美羽、これからはちゃんと制服を着替えてから帰れ。その格好だとCAだってすぐに分かる」

美羽はジャケットとスカーフを外し、制服のブラウスの上にカーディガンを羽織っていた。

「フライトバッグは仕方ないにしても、ストッキングの色とシニヨンにまとめた髪型は、CAですって言ってるようなもんだ。危険すぎる」

すると美羽は、拗ねたように翼を見上げる。

「翼くんだって着替えてないじゃない。ネクタイと肩章を外しただけでしょ?」
「ワイシャツとスラックスだから、他のサラリーマンと同じだろ」
「普通のサラリーマンのワイシャツには、エポレットループ(肩章を通す帯状の布)なんてついてませんけど?」
「こんなの知ってる人、そうそういない。それにバレたところで、男の俺はどうってことない。けどCAはすぐに気づかれるし、危ない。いいか? ちゃんと着替えるんだぞ」

美羽は納得いかないとばかりに、頬を膨らませた。

「えー、面倒くさいもん。他のCAだって着替えてないよ?」
「美羽はダメだ」
「どうしてよ?」
「可愛いから、すぐ目をつけられる」
「なにそれ。私、そんなに軽い女に見える?チョロいなって、声かけやすいとか?」
「なんでそうなるんだよ。とにかくもっと用心しろ。今日の男だって、いつまたあとをつけてくるか分からないんだからな?」

すると美羽は、しょんぼりとうつむいた。
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