Good day ! 5
年が明け、新しい1年が始まった。

恵真と大和にとって、大切な年。

40年近く空を飛び続けた大和は、これがパイロットとしての最後の年となる。

新年早々、新たなフライトシリーズが、日本ウイング航空のオフィシャルホームページで発表された。

『大切な人と 心に残るフライトを』

そのコンセプトでつけられたフライト名は『メモリアルフライト』

往路は3月1日の羽田ーホノルル便、復路は3月5日のホノルルー羽田便。

使用機材はB787で、復路のホノルル―羽田便が、大和が操縦桿を握る最後のフライトとなるのだった。

乗務の合間を縫って、大和は様々なインタビューや取材を受ける日々。

夫婦そろっての動画撮影もあり、恵真はその度に込み上げる涙を懸命に堪えていた。

(大和さんのラストフライトは、絶対に笑顔で終える。最後まで無事故でランディングさせる。絶対に)

恵真はそう心に誓った。

2月に入ると家族揃って取材を受け、翼も舞もキリッとした表情で父への想いを語る。

大きな存在である父。

その背中を追って、パイロットを志した自分達。

たとえ空を降りても、父の偉大さは変わらない。

自分の中に根付いた父の想いを胸に、これからも父を道しるべとして空を飛ぶ。

真剣な眼差しでそう語る二人に、恵真はグッと唇を噛みしめて涙を堪えた。

なるべくいつも通りに、普段と変わらず。

そう言い聞かせて毎日を過ごす。

そして遂に、その日がやって来た。
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