Good day ! 5
日が暮れるにつれて気温が下がり、くしゅんとくしゃみをした舞は、すぐ下の階のカフェに場所を移した。
カウンター席に座って温かいキャラメルマキアートを飲みながら、滑走路を眺める。
そしてバッグからノートとテキストを取り出し、勉強を始めた。
しばらくすると「あれ、舞ちゃん?」と声がして、舞は顔を上げる。
「泉さん! お疲れ様です。フライト終わりですか?」
「そう。ちょっとコーヒー飲んでから帰ろうと思って。隣、いいかな?」
「もちろんです、どうぞ」
「ありがとう」
泉は舞の左隣の席に座ると、カウンターに広げられたテキストに目をやった。
「自習してたの?」
「はい」
「へえ、やっぱりすごく難しそうだ」
「私も数学とか物理は苦手なので、毎日必死です。でも少しでもしっかり準備をしておきたくて……。一生に一度の、大切なフライトだから」
大切なフライト?と、泉は聞き返す。
舞は泉の正面に向き直って頷いた。
「父の、ラストフライトなんです」
泉はハッとする。
「そうか、佐倉キャプテンの……」
「はい。4か月後の来年3月に、ホノルル往復。父はそれを最後に空を降ります」
「そう。寂しくなるね」
「ええ、考えただけでも涙が込み上げてきます。だけどしっかり送り出さなきゃって。ラストフライトは、家族四人で担当させてもらえるので」
「佐倉キャプテンと藤崎キャプテン、あと舞ちゃんとお兄さんで飛ばすってこと?」
「そうです。チーフパーサーは佐々木さん、それから美羽もアサインされる予定です」
「そうか」
しばらくうつむいてから、泉は顔を上げた。
「舞ちゃん。もしよければそのフライト、俺も乗務を希望させてもらってもいいかな?」
「え、泉さんもキャビンに、ですか?」
「ああ。佐倉キャプテンは我がJWAにとって、かけがえのない存在だ。誰よりも優秀で、誰よりも偉大なキャプテン。そのラストフライトに、出来れば俺も立ち会わせてほしい。最高のフライトになるよう、精一杯努めるよ」
泉の真剣な眼差しに、舞は微笑んで頷く。
「はい、ありがとうございます。たくさんの方が父を温かく送り出してくださるのを感じて、私もとても嬉しいです」
「ああ。最後まで必ず無事に、最高の締めくくりにしよう」
「はい!」
決意のこもった舞の眼差しに、泉も大きく頷いてみせた。
カウンター席に座って温かいキャラメルマキアートを飲みながら、滑走路を眺める。
そしてバッグからノートとテキストを取り出し、勉強を始めた。
しばらくすると「あれ、舞ちゃん?」と声がして、舞は顔を上げる。
「泉さん! お疲れ様です。フライト終わりですか?」
「そう。ちょっとコーヒー飲んでから帰ろうと思って。隣、いいかな?」
「もちろんです、どうぞ」
「ありがとう」
泉は舞の左隣の席に座ると、カウンターに広げられたテキストに目をやった。
「自習してたの?」
「はい」
「へえ、やっぱりすごく難しそうだ」
「私も数学とか物理は苦手なので、毎日必死です。でも少しでもしっかり準備をしておきたくて……。一生に一度の、大切なフライトだから」
大切なフライト?と、泉は聞き返す。
舞は泉の正面に向き直って頷いた。
「父の、ラストフライトなんです」
泉はハッとする。
「そうか、佐倉キャプテンの……」
「はい。4か月後の来年3月に、ホノルル往復。父はそれを最後に空を降ります」
「そう。寂しくなるね」
「ええ、考えただけでも涙が込み上げてきます。だけどしっかり送り出さなきゃって。ラストフライトは、家族四人で担当させてもらえるので」
「佐倉キャプテンと藤崎キャプテン、あと舞ちゃんとお兄さんで飛ばすってこと?」
「そうです。チーフパーサーは佐々木さん、それから美羽もアサインされる予定です」
「そうか」
しばらくうつむいてから、泉は顔を上げた。
「舞ちゃん。もしよければそのフライト、俺も乗務を希望させてもらってもいいかな?」
「え、泉さんもキャビンに、ですか?」
「ああ。佐倉キャプテンは我がJWAにとって、かけがえのない存在だ。誰よりも優秀で、誰よりも偉大なキャプテン。そのラストフライトに、出来れば俺も立ち会わせてほしい。最高のフライトになるよう、精一杯努めるよ」
泉の真剣な眼差しに、舞は微笑んで頷く。
「はい、ありがとうございます。たくさんの方が父を温かく送り出してくださるのを感じて、私もとても嬉しいです」
「ああ。最後まで必ず無事に、最高の締めくくりにしよう」
「はい!」
決意のこもった舞の眼差しに、泉も大きく頷いてみせた。