Good day ! 5
オペレーションセンタービルのエントランスでも、色々な部署のスタッフが花道を作って大和を出迎え、オフィスに戻ると社員が総立ちで拍手した。

「佐倉くん、長い間本当にありがとう。お疲れ様でした」

今は役員であるかつての部長から、大きな花束が渡される。

「JWAの顔とも言える君が現役を退くのは名残惜しいが、これからは訓練審査部の部長として後輩達を育て、まだまだ活躍してほしい」
「はい、ありがとうございます」
「とにかくまずはゆっくり休んでくれ。本当にお疲れ様でした。色んなフライトシリーズにつき合ってくれてありがとう。おかげで私の株も急上昇だったんだよ。ははは!」

これには苦笑いするしかない。

そして最後に、大和はパイロット仲間に囲まれた。

「佐倉、お疲れ様!」

野中がガバッと大和に熱いハグをする。

「お前と飛ぶのは本当に楽しかった。いい思い出だ。これからはフライトを気にせず、思い切り飲んで語り合おう」
「はい。野中さんのような愉快な先輩がいてくださって、本当に良かった。ありがとうございました」
「おい、愉快ってなんだよ。他にもっとあるだろう?」
「いえ、もう結構です」
「その返しも変だろうがよ!」

そんな野中を、まあまあと後ろから手を伸ばして倉科が遮った。

「佐倉、お疲れ様。隠居チームへようこそ」

ひと足早く半年前にラストフライトを終えていた倉科が、笑顔で握手する。

「隠居……、なんだか一気に老け込みそうですね」
「佐倉が来るのを待ってたんだよ。二人でチームイケオジを作ろうじゃないか」

俺を入れて三人で!と、野中が騒ぐ。

その横で、伊沢が顔をぐしょぐしょにして泣いていた。

「伊沢、大の男が簡単に泣くな」
「簡単になんて、泣いてません! だって俺は、ずっとずっと佐倉さんのこと……」
「おい、ここで爆弾発言とかするなよ」
「大好きでしたー!」
「やめろってば!」

あはは!と笑い声が上がる。

それでもまだ泣き続ける伊沢に、大和はやれやれとため息をついた。

「伊沢、これからはお前がJWAを背負って飛ぶんだぞ」
「そんなの、無理です! 佐倉さんがいなくなったら、俺、どうしていいか……」
「大丈夫だ、恵真がいる」
「あ、そっか!」

途端にピタリと泣き止んだ伊沢に、野中が、ぶっと吹き出した。

「ほんとにお前は調子がいいな。それになんだよ、男なのに藤崎ちゃんに頼るのか?」
「だって恵真の方が俺より男前ですもん」

黙って聞いていた恵真が「ちょっと、伊沢くん!」と怒り出す。

「あんまりじゃない? 私、これでもおとなしい部類の女性なのに」
「どこがだよ? 78と77の両方を飛ばすゴリゴリのキャプテンなのに」
「だから、ゴリラみたいに言わないでってば!」

すると野中が周りを見渡して声を張った。

「よーし、みんな。そういう訳で写真撮るぞー」
「野中さん、どういう訳ですか?」

大和のラストフライトは、最後まで賑やかに笑顔で幕を閉じた。
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