Good day ! 6
「Tokyo Tower, JW1134. Nose gear remains unsafe. We are unable to lock the gear. Requesting approach for a partial gear-up landing. Requesting emergency services on standby」

大翔が管制官とやり取りする傍ら、舞はチェックリストを確認していく。

大翔は救急車と消防車の手配を頼むと交信を終え、CAに連絡してから、最後に乗客に説明した。

キャビンでCAによる衝撃防止姿勢のレクチャーが済むと、二人でランディングの確認をする。

「留意するのは次の3点だ。ますはメインギアだけでのソフトな接地。続いて速度が落ちてエレベーターが効かなくなるまで、機首を絶対に下げない。それからメインギアのブレーキは慎重に。強く踏みすぎるとノーズが早く落ちてしまう」
「了解です」
「よし。念の為、もう少し燃料を減らしてから行こう」
「分かりました」

舞は正面に向き直ると、大きく息を吸う。

落ち着け、と自分に言い聞かせていると、ふいに大翔が「佐倉さん」と呼んだ。

「はい」
「左手、貸して」
「え? はい」

言われるがままに左手を差し出すと、大翔は右手でその手を握った。

「冷たいな」
「あ……、すみません。冷え症なんです」
「そうか。でも今の俺には、この冷たさが気持ちいい」

しばらく手を繋いだまま、静かな時間が過ぎる。

大翔の手から気持ちが伝わってくるようで、舞は次第に心が穏やかになるのを感じた。

二人の呼吸が合い、心が重なり合う。

見つめ合ってから頷いた。

「よし、行こうか」
「はい、お願いします」

大翔はオートパイロットを解除し、操縦桿を握った。
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