踏み切りの鐘は三分間鳴る
「佐藤くーん、昼飯買ってきてよー、俺焼きそばパンね」
「オレ牛乳とホットドッグー」
 俺はその日もクラスメイトの男子数名からそんな風に声をかけられていた。
「……俺、そういうのはもう」
「何て? 悪いけど聞こえなかったからもう一回言ってもらっていい?」
 なんとか振り絞った言葉は嘲るようなそいつらの声にかき消されてしまって
「俺はもうパシリとかそういうのしないからっ……」
 今度は声を大にしてそう宣言した。
 それに反応してこの事に干渉していない周りからの視線が刺さる。
「パシリとかじゃないってー、ただ頼んでるだけじゃん、俺達友達だろー? なぁ?」
 名前だって別に覚えているわけでもないそいつに肩に手を置かれて、俺は反射的に振り払っていた。
 そして
「やらないって言ったらやらない、俺はお前達の道具じゃない」
 そいつの瞳をしっかりと見据えながら俺は自分の意思を伝えた。
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