新堂さんと恋の糸

12. Beautiful 'Spring'

 「……うわぁ」

 会場に一歩足を踏み入れた途端に広がる光景に、私は思わず感嘆の声を上げてしまった。

 真っ白な壁と床が、ライティングによって透明感のある青に映っている。
 頭上には、群れをなす魚を(かたど)った黒いオブジェがいくつも吊るされていて、照明に照らされた影が床や壁を泳いでいた。その回遊魚の影が、鑑賞ルートを自然と誘導してくれている。

 (すごい、本当にイメージ通りに完成させちゃうなんて……)

 会場デザインの画や模型がそのまま現実に再現されていて、私はただただ感動していた。

 「あ、吊るされている魚のオブジェって、それぞれ形が違う…?」
 「展示ゾーンによって魚の種類を変えてる。こっちはイワシ、カツオにマグロ、向こうがサケ。せっかく水族館まで行ったんだしアイデアは活用しないとな」

 さすがにウナギは却下したけど、と新堂さんは笑う。

 (そうだ、そんなこともあったな……)

 新堂さんに誘われて行った水族館。なんだかすごく昔のことのように思える。
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