新堂さんと恋の糸
◇◇◇◇
「この度は誠に申し訳ございません」
翌日、事務所で記事流出についての謝罪を受けた。
見せられたのは、校正前の誌面データ。そこには、顔出しNGのはずの俺の写真がそのまま使われていた。記事はすぐに削除されたためか、今時点では事務所に問い合わせなどはきていない。
「流出の経緯は分かっているんですか?」
「弊社の櫻井が書いていた記事に間違いはないようですが、身に覚えはないと。ですので社内もしくは社外の誰かが故意に持ち出したと考えていますが、現時点では……」
―――直感で思った、麻生だと。
おそらく自作自演だろう。わざと繋がりのある出版社にデータを送り、捨てアカウントにアップして匿名で通報。会社全体に大きな損害は与えず、俺個人に「やろうと思えばもっとできる」というメッセージだけを見せる。
(……ここまでするか)
取り急ぎの対応や再発防止策の説明を受けたあと、俺は園田という編集長に声をかけて残ってもらった。
「ご相談というのはなんでしょうか?」
「櫻井さんを、担当から外してもらえませんか」
俺の言葉に編集長の顔が強張る。
「……確かにごもっともかもしれません。ただ、私どもとしては櫻井が行なったとは考えられないんです。それに、これは内々の話ですが――」
もし社内の人間ではないなら社外――そのことでうちの事務所の人間が疑われるなら、自分がやったことにすると言い出しかねない様子だったという。
(本当に、あいつは……)
以前、素直すぎていつか利用されるんじゃないかと心配したことがあった。それが、現実になりかけている。
「この度は誠に申し訳ございません」
翌日、事務所で記事流出についての謝罪を受けた。
見せられたのは、校正前の誌面データ。そこには、顔出しNGのはずの俺の写真がそのまま使われていた。記事はすぐに削除されたためか、今時点では事務所に問い合わせなどはきていない。
「流出の経緯は分かっているんですか?」
「弊社の櫻井が書いていた記事に間違いはないようですが、身に覚えはないと。ですので社内もしくは社外の誰かが故意に持ち出したと考えていますが、現時点では……」
―――直感で思った、麻生だと。
おそらく自作自演だろう。わざと繋がりのある出版社にデータを送り、捨てアカウントにアップして匿名で通報。会社全体に大きな損害は与えず、俺個人に「やろうと思えばもっとできる」というメッセージだけを見せる。
(……ここまでするか)
取り急ぎの対応や再発防止策の説明を受けたあと、俺は園田という編集長に声をかけて残ってもらった。
「ご相談というのはなんでしょうか?」
「櫻井さんを、担当から外してもらえませんか」
俺の言葉に編集長の顔が強張る。
「……確かにごもっともかもしれません。ただ、私どもとしては櫻井が行なったとは考えられないんです。それに、これは内々の話ですが――」
もし社内の人間ではないなら社外――そのことでうちの事務所の人間が疑われるなら、自分がやったことにすると言い出しかねない様子だったという。
(本当に、あいつは……)
以前、素直すぎていつか利用されるんじゃないかと心配したことがあった。それが、現実になりかけている。