停車時間は五分間
特急の通過を待つため五分間停車するとのアナウンスが流れた。男は何の気なしに窓からホームを眺めた。昔の恋人の姿が見えた。
嫌いになって別れた女ではなかった。ボタンの掛け違いが続いた。それで、違う人生を歩こうと話し合って……すぐに後悔した。だが、自分の気持ちに正直になれなかった。他にも女はいる。そう自分に言い聞かせたのだが、他の女はいなかった。素直になれば良かった、と今も悔やんでいる。そんな女が、窓の向こうを通り過ぎていく。
前よりも痩せていた。顔には疲れの色が見えた。良くない噂を耳にしていた。あまり、幸せではないとも。
そうだとしたら。
男は立ち上がった。混雑する車内の通路を苦労しながら進む。デッキに置かれた沢山の大きなトランクを押し退けてホームに降りる。女が消えた方向へ人ごみをかき分けて走る。
彼は女を見失った。しかし、自分の気持ちはハッキリした。よりを戻したい。彼女に正直に伝えようと決める。今すぐに。連絡しようと携帯電話を探し、列車の座席に置き忘れていたことを思い出す。その横を彼の荷物を載せた列車が通過していった。
嫌いになって別れた女ではなかった。ボタンの掛け違いが続いた。それで、違う人生を歩こうと話し合って……すぐに後悔した。だが、自分の気持ちに正直になれなかった。他にも女はいる。そう自分に言い聞かせたのだが、他の女はいなかった。素直になれば良かった、と今も悔やんでいる。そんな女が、窓の向こうを通り過ぎていく。
前よりも痩せていた。顔には疲れの色が見えた。良くない噂を耳にしていた。あまり、幸せではないとも。
そうだとしたら。
男は立ち上がった。混雑する車内の通路を苦労しながら進む。デッキに置かれた沢山の大きなトランクを押し退けてホームに降りる。女が消えた方向へ人ごみをかき分けて走る。
彼は女を見失った。しかし、自分の気持ちはハッキリした。よりを戻したい。彼女に正直に伝えようと決める。今すぐに。連絡しようと携帯電話を探し、列車の座席に置き忘れていたことを思い出す。その横を彼の荷物を載せた列車が通過していった。


