29歳新人女性弁護士 超イケメンハイスペックな先輩に溺愛されちゃいました♡
今時、部下の嫁探しなど馬鹿げたことをしている上司が、この世界のどこにいるというのか。付き合わされているこちらの身にもなれ、と三人目が辞めた時はほとほと疲弊したため、喉元まで出かかった。

しかし、仕方がない。田森もあと何年現役でいられるか、というほど、健康状態は良くないと聞いている。このまま無視を続けるしかない。そう自分に言い聞かせ、藤川は辛抱していた。

まさか四人目でまんまとひっかかるとは思っていなかったが...。

短い間ではあったが、田森の息子と会えたことは藤川にとって収穫であった。

息子の妻は、藤川は初対面であったが、話に聞いていた通り、蚊の鳴くような小さな声しか発さず、物静かな女性であった。食卓で皿を差し出された際にちらりと見えた、手首にある無数の傷が痛々しかった。幸い、田森の息子の話では、山陰に来てからは落ち着いており、一度も命を絶とうとはしていないという。

犬が六匹に子どもが三人となると、さぞかしカオスな生活環境か、と想像していたが、実際にはそんなことはなかった。
< 237 / 254 >

この作品をシェア

pagetop