29歳新人女性弁護士 超イケメンハイスペックな先輩に溺愛されちゃいました♡

「どんな境遇の方にも思いやりを持って寄り添うのが、我々の使命です」

順調に走行する列車は、富士山から箱根の間に連発するトンネル区間に入った。

藤川がこの事務所に入ってすぐのことである。朝、藤川が田森の息子から案件の引き継ぎについて話している際、息子の携帯が鳴った。救急隊からであった。息子の妻が歩道橋から飛び降りたのだ。息子の妻はいざという時のために
ヘルプマークをつけていて、それを見て隊員は連絡してきたという。この時は、あまり高くない位置から歩道側に落ちたため、大事に至ることはなかった。

急いで息子は搬送先の病院へ向かった。

この時初めて藤川は息子の妻の事情を知った。

あろう事か、藤川の同期であった女性は、息子が血相を変えて事務所を飛び出すなり、笑い出した。そしてこう言い捨てた。

「コケティッシュな女」

彼女に田森は詰め寄った。

「例えば国や時代など、別な環境に生まれていれば、全く違う人生を送れていた方もいらっしゃいます。たまたま不適合な所に生まれたがために、苦しい思いをしている方を、お気の毒だとは思いませんか?」
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