29歳新人女性弁護士 超イケメンハイスペックな先輩に溺愛されちゃいました♡
この時、藤川と彼女は息子の妻のバックグラウンドについては存じてはいなかった。それでもまともな感覚を持ち合わせていれば、救急搬送された人を案じるものであろう。

「思わないわよ。適合できるように自分が合わせるのが世の中のルールってもんよ。自由競争社会なんだから」

彼女はその主張を曲げることはなかった。

思わず藤川はその当時の事務員であった中年女性と顔を見合わせたものである。

当然、彼女のこの発言は田森の逆鱗に触れた。

「どんな境遇の方にも思いやりを持って寄り添うのが、我々の使命です。それができぬ人は不要ですよ」

この田森の言い草に、彼女はへそを曲げたのだろう。半月後には、大手町にある大規模事務所へと移籍していった。

二人の立場は大きく異なっているとは思うが、社会に対し強い疎外感を感じて身投げを繰り返す田森の息子の妻と、近親者から複数回拒絶されて心を閉ざすレイナが、藤川には重なって見える。それだけに田森の息子の姿は、藤川が今後のレイナとの付き合いをする上で、参考になるのかもしれなかった。
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