茜くん、ちょっと落ち着こう!?
射的屋に戻ると、ちょうど茜くんがコルクの補充をしていた。
「遅かったね。神主さん、何だって?」
「ちょっと世間話......?」
「ふーん。そっか」
茜くんは首を傾げつつも、それ以上は踏み込んでこなかった。
その距離感が、逆に妙に安心してしまって、少しだけ罪悪感で胸がちくりと痛む。
「椿芽、次はどれを並べようか」
「え、うーん。これとか?」
私は景品の小さなロボットを手に取って棚に置いた。指先が震えたのは、きっとさっきの話のせいだ。
「椿芽?」
心配そうに私の顔を覗き込む茜くんに少しびっくりしてしまう。
「あ、あのさ......茜くんと前に会ったことある?」
「......」
思い切って聞いてみる。
すると、驚いたような表情をしていた。
「やっと......思い出してくれたんだ......」
嬉しそうに笑顔になる茜くん。その笑顔が眩しくて、とても神様には見えない。
私の神様に対するイメージって、何か偉そうっていう感じだったから。
「そうだよ。俺は神様だよ」
「そうなんだ......」
(やっぱり神主さんの言っていたことは本当だったんだ)
神様でも人間の学校に通うのかぁ......と呑気に考える。しかし、神様が人間の学校に通って良いのか冷静になって考えてみたりもする。
茜くんは私の反応を見て、少しだけ困ったように笑った。
「神と人間の親睦を深めに、ってことで」
「......そんな理由で?」
思わず間の抜けた返事をすると、茜くんは頭を搔いた。
「半分は本当。半分は建前」
「建前って?」
「ずっと忘れられなくて......会いたくて」
「あ、はは......」
(多分、私と茜くんじゃ忘れられなかったの意味が少し違う気もするけど......)
スリ、と愛おしそうに擦り寄る茜くん。
普段の茜くんからは想像もつかないような行動で......いや、元からか。
何か見てはいけないものを盗み見ているような気持ちになり、思わず目を背ける。
その時―――
「あれー?恵美じゃーん!!!」
「久しぶりー!!!」
と叫びながら見知らぬ男子二人組がこちらに向かって走ってくる。
一人は黒髪で短髪の子、もう一人は黒髪でポニーテールにしている子。
双子かな?顔がそっくり......。
「何でここにいるんだよ。帰れよ」
男子達を軽くあしらう茜くん。
「ん?この子って......」
一人の男の子が私の顔をまじまじ見てから、茜くんを見た。
「なるほどね〜......」
そう言ってニヤニヤしている。
「あー......くそ」
茜くんは一瞬迷ったような表情を見せながら、何故か私を抱きしめた。
「お前らが椿芽を好きになったらどうしよう......」
「そんなことしたらお前、何するか分かんねぇだろ」
「それな」
男子二人のツッコミ。
「えっと、この二人は......」
「神様学校で同じクラスのバカ兄弟」
なんてことないように男子二人を指差す茜くん。
(......神様学校って何!?)
「ひでぇ紹介」
「それなー」
二人は口々に文句を言いながらも、私の前に立つと急に姿勢を正した。
「恵美の旧友です」
「あ、いや、腐れ縁って言った方が正しいか」
「どっちでも良いから名乗れ」
茜くんが不機嫌そうに腕を組むと、二人は肩をすくめた。
「風神の迅とー」
「雷神の要でーす」
(風神と雷神......めちゃくちゃ有名な神様だった!)
「椿芽、こいつらの言うことは聞くなよ。ただのナンパ野郎だから」
「「ひでぇな!?」」
短髪の子が風神の迅くん、長髪の子が雷神の要くん。よし覚えた!
「遅かったね。神主さん、何だって?」
「ちょっと世間話......?」
「ふーん。そっか」
茜くんは首を傾げつつも、それ以上は踏み込んでこなかった。
その距離感が、逆に妙に安心してしまって、少しだけ罪悪感で胸がちくりと痛む。
「椿芽、次はどれを並べようか」
「え、うーん。これとか?」
私は景品の小さなロボットを手に取って棚に置いた。指先が震えたのは、きっとさっきの話のせいだ。
「椿芽?」
心配そうに私の顔を覗き込む茜くんに少しびっくりしてしまう。
「あ、あのさ......茜くんと前に会ったことある?」
「......」
思い切って聞いてみる。
すると、驚いたような表情をしていた。
「やっと......思い出してくれたんだ......」
嬉しそうに笑顔になる茜くん。その笑顔が眩しくて、とても神様には見えない。
私の神様に対するイメージって、何か偉そうっていう感じだったから。
「そうだよ。俺は神様だよ」
「そうなんだ......」
(やっぱり神主さんの言っていたことは本当だったんだ)
神様でも人間の学校に通うのかぁ......と呑気に考える。しかし、神様が人間の学校に通って良いのか冷静になって考えてみたりもする。
茜くんは私の反応を見て、少しだけ困ったように笑った。
「神と人間の親睦を深めに、ってことで」
「......そんな理由で?」
思わず間の抜けた返事をすると、茜くんは頭を搔いた。
「半分は本当。半分は建前」
「建前って?」
「ずっと忘れられなくて......会いたくて」
「あ、はは......」
(多分、私と茜くんじゃ忘れられなかったの意味が少し違う気もするけど......)
スリ、と愛おしそうに擦り寄る茜くん。
普段の茜くんからは想像もつかないような行動で......いや、元からか。
何か見てはいけないものを盗み見ているような気持ちになり、思わず目を背ける。
その時―――
「あれー?恵美じゃーん!!!」
「久しぶりー!!!」
と叫びながら見知らぬ男子二人組がこちらに向かって走ってくる。
一人は黒髪で短髪の子、もう一人は黒髪でポニーテールにしている子。
双子かな?顔がそっくり......。
「何でここにいるんだよ。帰れよ」
男子達を軽くあしらう茜くん。
「ん?この子って......」
一人の男の子が私の顔をまじまじ見てから、茜くんを見た。
「なるほどね〜......」
そう言ってニヤニヤしている。
「あー......くそ」
茜くんは一瞬迷ったような表情を見せながら、何故か私を抱きしめた。
「お前らが椿芽を好きになったらどうしよう......」
「そんなことしたらお前、何するか分かんねぇだろ」
「それな」
男子二人のツッコミ。
「えっと、この二人は......」
「神様学校で同じクラスのバカ兄弟」
なんてことないように男子二人を指差す茜くん。
(......神様学校って何!?)
「ひでぇ紹介」
「それなー」
二人は口々に文句を言いながらも、私の前に立つと急に姿勢を正した。
「恵美の旧友です」
「あ、いや、腐れ縁って言った方が正しいか」
「どっちでも良いから名乗れ」
茜くんが不機嫌そうに腕を組むと、二人は肩をすくめた。
「風神の迅とー」
「雷神の要でーす」
(風神と雷神......めちゃくちゃ有名な神様だった!)
「椿芽、こいつらの言うことは聞くなよ。ただのナンパ野郎だから」
「「ひでぇな!?」」
短髪の子が風神の迅くん、長髪の子が雷神の要くん。よし覚えた!