ハニートラップ


学校みたいに自動的に時間が潰れていってくれるわけじゃないから、とにかく予定を詰め込んだ。

まぁ、そのほとんどが咲のサッカーチームの手伝いだったけど……
喜ばれるし、雑用してると気が紛れるしでちょうどよかった。


(はぁ、暑い……。)

クーラーボックスを運びながら、燦々と輝く太陽を見上げて辟易とする。

真夏は室内の練習場を使えるからありがたい。
この暑さの中走り回ってたら、子ども達は倒れちゃうもん。

駐車場を縦断して、室内練習場に入る。
外より涼しくはあるけど、ここはここで別の熱気に満ちている。

「珠桜ちゃん、ありがとねぇ。」

クーラーボックスを置くと、咲のチームメイトのママさんが私に麦茶を差し出した。

「いえいえ。夏休み限定なので……バンバン使ってやってください。」

受け取った麦茶をゆっくり喉に流す。
ひんやりと内側から熱が冷えた。

「本当にいい子ね〜!うちの子にもこうなってほしいわぁ。」

他のママさんたちも集まってきて、そのままワイワイと井戸端会議が始まる。

話題の中心はもっぱら我が子の愚痴だからついてはいけないけど、合わせて笑ってるだけでも楽しかった。

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