ハニートラップ

phase:20 発火


9月も半ばに入って、学校には体育祭ムードが漂っている。

くじ引きの結果、私のクラス・3組と、高峰くん達の2組は同じ赤軍になった。

「珠桜!なんの競技に出る?」

種目決めのHRが始まる少し前、黒板に並ぶ種目を見ながらマキが言った。

「んー…どれでもいいなぁ。」

運動は割と得意な方。
迷うのもその余裕から。

「珠桜はさぁー…やっぱあれでしょ。
男女混合二人三脚♡」

口に手を当てニヤつくミナ。
その魂胆がわかってしまった。

「俊平となんかやらないからね!
アイツ、最近彼女できたし!」

「ええっ、そうなの!?
幼馴染のラブは鉄板だと思ってたのにぃ〜!」

ミナが可愛く口を尖らせてブーブー言い出す。
その横で、マキが不思議そうな顔をしている。

「最近昼休みにいないのは、俊平くんと会ってたからだと思ってた。」

「いや、あれは――まぁ、ちょっと。」

何も聞かれないから油断してた。
言い訳に困って視線を巡らす。

「高峰久哉と、変なことになってないよね?珠桜。」

――“変なこと”って、“どれ”のこと?

心の奥が静かに軋む。

「何それ。別に何もないよー?」

心配そうな顔をしているマキに、私はまた嘘をついて笑う。
その時、ポケットの中でスマホが鳴った。
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