こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
 夜景を見下ろせる隼人のマンションで星空とオーロラのネイルの写真を撮り、動画に加える。
 たくさんの音楽の中からこのネイルに合いそうな曲を選び、15秒の動画が完成した。

「どう?」
 遥はキッチンでコーヒーを入れようとしていた隼人を呼び、動画を見てもらう。

「冒頭3秒のインパクトが薄い」
 こことここを入れ替えろと指示された遥は、動画の順番を入れ替える。

「この字を大きく。こちらは背景を明るく」
 指示された通りに操作し、再生した遥はあっさりと完敗を認めざるを得なかった。

「あなたにできないことはないの?」
 仕事もできて、料理もできて、センスもあって。
 本当に世の中は不公平だ。

「できないことばかりだ」
「はぁ~、イヤミだわ」
 遥は保存ボタンを押し、この動画でお願いと隼人に頼む。
 パソコンの前から遥が退くと、隼人は慣れた手つきでパソコンを操作し動画をアップしてくれた。

「0時から流れる。結果は1週間後のお楽しみってことで」
「ありがとう」
 隼人は遥の頭にポンと触れると、キッチンに戻っていく。
 遥はネイルサロンの店長宛てに今日のお詫びと動画をメールを送ると、大きく伸びをした。

 今日は朝からいろいろあって疲れてしまった。
 明日はナイトクルーズだし、もう寝よう。
 ……まだ夜9時だけれど。
 
「寝るわ」
「あぁ、おやすみ。明日は15時にリリーの店だ」
「わかった」
 部屋に戻る途中で、遥はキッチンの方を振り向く。

「このネイル、気に入ったわ。……ありがとう」
 本当は動画広告のお礼を言いたいけれど、これが精いっぱいだ。
 ぎこちないお礼になってしまったが、隼人は片手を爽やかに上げながら「また明日な」と言ってくれた。

    ◇
 
 リリーの店で髪をセットしてもらっていた遥は、スマートフォンに届いたメールに目を見開いた。
 
「予約殺到で2ヶ月待ち!?」
「ネイルサロン?」
「はい。昨日このネイルをしてくださったお店です」
 動画広告ってそんなに効果があるの?
 
「実は昨日、口コミサイトに誹謗中傷の書き込みがあったそうよ」
「誹謗中傷?」
「客層が悪く、同じ空間でネイルをしてもらう気になれない。最低な店だって」
 遥の髪を丁寧にヘアアイロンで巻きながら、リリーはネイルサロンの店長から連絡をもらったと打ち明ける。
 
「それって」
 書いたのはお嬢様だと丸わかりだ。
 私に直接文句を言わずに、お店に嫌がらせをするなんて卑怯すぎるでしょ。
 
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