こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「店の評価も☆1にされて、こんな店行かない方がいいって書かれたって」
 リリーはヘアアイロンを置き、髪をふわっと整えてくれる。
 ハーフアップにし、リリーがヘアグリッターを吹きかけると、まるで髪にも星空が広がったみたいにキラキラと光った。
 
「でもね、同じ時間にお店にいたお客さんだと思うんだけれど、評価☆1にした人の方が品位がなかったって書いてくれたって」
「えっ?」
「店に嫌がらせするのはよくないと書いてくれたそうよ」
 しかも3人がネイルの写真をUPして、いい店だったと☆5をつけたのだとリリーは教えてくれる。
 もしかしてあの3人のお客さん?
 
「文句だけ言っている人よりも、実際に可愛いネイル付きでいい店だったって言う人の方を信じるわよね」
 動画広告を見た人が店のホームページを見に行き、3人のネイルの写真を見て興味を持ったのではないかと話しながら、リリーは遥にメイクを施していく。

「やるわね、女社長」
 ニヤッと笑ったリリーに、遥は気まずそうな顔で微笑んだ。

「あら、浮かない顔ね」
「私のせいでお店に迷惑が」
「言いがかりでしょ?」
 ネイルサロンの店長は相手の女の方が非常識だったと言っていたと、リリーは話しながら遥に白のアイシャドウをひく。
 
「防犯カメラの映像を証拠に、口コミの削除依頼をしたそうよ」
 普段支払いが父親だったので、削除依頼も父親宛てに手紙を出したと店長は笑っていたそうだ。
 早く消してもらえるといいけれど。
 変な口コミがひとつでもあるとそのお店を選ばない人もいるし、そこからまた変な噂が立ったら困るし。
 
「とにかく、ありがとう」
 お礼にとびきりセクシーにしてあげると言われた遥は、ほどほどでお願いしますと真面目な顔で思わず答えてしまった。

 
 前回水でびしょぬれにしただけでなく、レースの間にガラスまで挟んでしまった黒いドレスは、見事に黒と青のドレスに生まれ変わっていた。
 スリットが入っていた黒いスカート部分は、黒からミッドナイトブルーへのグラデーションが美しいアシンメトリーのドレープに。
 再びレッドカーペットを歩く女優のようなドレスを着てしまった遥の顔は引きつった。
 
 どうして背中と肩のイリュージョンレースが変わらないのよ!
 ここを一番隠してほしいのに!

「今日も綺麗だ」
 低音ボイスで囁いてくる色気満載な隼人は、黒のメスジャケット。
 ミッドナイトブルーのカマーバンドとボウタイは遥のドレスの裾と同じ色。
 前回のV字のウェストコートも似合っていたが、カマーバンドを中心に、引き締まった腰から伸びる長い足も、上に広がる逆三角形の肩回りの強調も犯罪級だ。

「ズルいわね」
「何がだ?」
「似合いすぎじゃない?」
 私はどこからどうみても馬子にも衣裳状態なのに、隼人は完璧に着こなしている。
 私ももう少し美人だったらなと、遥は溜息をついた。
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