こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「無理でも半年は待つべき……」
「待てない」
「そんなの……」
「手放すこともできない。離れたくない」
隼人は遥をグッと抱き寄せる。
「諦められないんだ」
「話がよくわからな……」
戸惑う遥の言葉を、隼人は抱きしめる力を強めることで封じ込めた。
「責任感が強い遥は、無理難題を押し付ければ挑発に乗って契約書にサインすると思った」
単純で悪かったわね。まんまとサインしたわよ!
「あとは一年かけて口説く予定だった」
「は?」
「それなのに、遥かの大事な会社が俺のせいで」
「あの火事はあなたのせいじゃないわ」
悪いのはタバコをポイ捨てしたあいつらだ。
「遥を諦めて、ロスに帰ろうと思ったが無理だった」
「待って。そんなのあなたが私のこと好きみたいじゃない!」
叫ぶように言った遥の言葉に、隼人が動きを止めた。
「……みたい、じゃない」
隼人の手が遥の背中から後頭部へと移動し、逃がさないようにしっかりと頭を支える。
至近距離で見つめ合う瞳に、遥は息を呑んだ。
「最初から、愛している」
「……え?」
「契約なんて、もともと遥を繋ぎ止めておくための鎖だ」
息ができないほどの熱い口づけに、ますます遥は混乱する。
最初から? っていつから?
どういうこと?
「このままではストーカー行為がエスカレートするだろう。だから会見でハッキリ公表する」
「でも、そんな急に」
なんでこの男はいつも決断が速いのよ。
失敗したらどうしようと悩む私とは正反対だ。
「もう契約という名の逃げ道は用意しない。覚悟しろ」
「覚悟って、私は何を……」
「俺の愛を受け止めろ」
車がゆっくりと停車し、ドアが開かれる。
最強のスタイリスト・リリーの店に押し込められた遥は、隼人の「愛している」という言葉を何度も頭の中で繰り返した。
だが、今の遥には、感傷に浸る時間さえ一秒も与えられない。
「あらやだ。爪が秋色じゃないの」
クルーズの青ドレスじゃダメねと、リリーは遥の手を掴みながらまるで戦場に赴く騎士のような鋭い目で衣装ラックを睨みつけた。
「え? 待って。リリーさん、それは無理!」
「無理じゃないわ、やるのよ! あなたは今から最高に気高く、最高に愛されている女になるのよ」
有無を言わせぬリリーの咆哮に遥は思わず後ずさりする。
待って。誰か、私の意見を聞いて。
そもそも、さっきの隼人の「愛している」の真意も、契約がどうなるのかも、何ひとつ整理できていないのに。
押し寄せるドレスの波と香水の香りに巻かれながら、遥は遠ざかっていきそうな平穏な日々に溜息をつくことしかできなかった。
◇
二時間後、有能な秘書田沼の采配によりM-ADC日本支店で記者会見は開始された。
「あらやだ。始まっちゃったわ」
迎えに来た田沼の車の中で最後の仕上げをしながら、リリーがタブレットに映し出された記者会見の様子を眺める。
緊急の招集にもかかわらず会場内は報道陣で埋め尽くされ、異様な雰囲気の中、壇上に立った弁護士がマイク越しに氷のように冷ややかな声を響かせた。
「待てない」
「そんなの……」
「手放すこともできない。離れたくない」
隼人は遥をグッと抱き寄せる。
「諦められないんだ」
「話がよくわからな……」
戸惑う遥の言葉を、隼人は抱きしめる力を強めることで封じ込めた。
「責任感が強い遥は、無理難題を押し付ければ挑発に乗って契約書にサインすると思った」
単純で悪かったわね。まんまとサインしたわよ!
「あとは一年かけて口説く予定だった」
「は?」
「それなのに、遥かの大事な会社が俺のせいで」
「あの火事はあなたのせいじゃないわ」
悪いのはタバコをポイ捨てしたあいつらだ。
「遥を諦めて、ロスに帰ろうと思ったが無理だった」
「待って。そんなのあなたが私のこと好きみたいじゃない!」
叫ぶように言った遥の言葉に、隼人が動きを止めた。
「……みたい、じゃない」
隼人の手が遥の背中から後頭部へと移動し、逃がさないようにしっかりと頭を支える。
至近距離で見つめ合う瞳に、遥は息を呑んだ。
「最初から、愛している」
「……え?」
「契約なんて、もともと遥を繋ぎ止めておくための鎖だ」
息ができないほどの熱い口づけに、ますます遥は混乱する。
最初から? っていつから?
どういうこと?
「このままではストーカー行為がエスカレートするだろう。だから会見でハッキリ公表する」
「でも、そんな急に」
なんでこの男はいつも決断が速いのよ。
失敗したらどうしようと悩む私とは正反対だ。
「もう契約という名の逃げ道は用意しない。覚悟しろ」
「覚悟って、私は何を……」
「俺の愛を受け止めろ」
車がゆっくりと停車し、ドアが開かれる。
最強のスタイリスト・リリーの店に押し込められた遥は、隼人の「愛している」という言葉を何度も頭の中で繰り返した。
だが、今の遥には、感傷に浸る時間さえ一秒も与えられない。
「あらやだ。爪が秋色じゃないの」
クルーズの青ドレスじゃダメねと、リリーは遥の手を掴みながらまるで戦場に赴く騎士のような鋭い目で衣装ラックを睨みつけた。
「え? 待って。リリーさん、それは無理!」
「無理じゃないわ、やるのよ! あなたは今から最高に気高く、最高に愛されている女になるのよ」
有無を言わせぬリリーの咆哮に遥は思わず後ずさりする。
待って。誰か、私の意見を聞いて。
そもそも、さっきの隼人の「愛している」の真意も、契約がどうなるのかも、何ひとつ整理できていないのに。
押し寄せるドレスの波と香水の香りに巻かれながら、遥は遠ざかっていきそうな平穏な日々に溜息をつくことしかできなかった。
◇
二時間後、有能な秘書田沼の采配によりM-ADC日本支店で記者会見は開始された。
「あらやだ。始まっちゃったわ」
迎えに来た田沼の車の中で最後の仕上げをしながら、リリーがタブレットに映し出された記者会見の様子を眺める。
緊急の招集にもかかわらず会場内は報道陣で埋め尽くされ、異様な雰囲気の中、壇上に立った弁護士がマイク越しに氷のように冷ややかな声を響かせた。