こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「どういう知り合いなの?」
M-ADCのホームページを見ても代表的な取引先にツクモはない。
本社はロサンゼルス。
あぁ、だからロサンゼルスに行っていたんだ。
CEOの写真は載っておらず、Hayato Mamiyaという名前のみ。
「いったい何者なんだろう?」
どうして私に融資を、ううん、どうして契約結婚を持ちかけたのだろう?
「あ、佐久間からだ」
スマートフォンに届いたメッセージには新しいアプリの意見を書いた紙が添付されている。
なぜか焼き鳥とビールを両手に持った富樫の写真付きだ。
「二人で飲みに行ったんだ」
楽しそうだなと遥はスマホを眺める。
「夕飯できたぞ」
「あっ、はい。すぐ行きます」
遥はスマートフォンをポケットに突っ込みながら立ち上がり、ダイニングに向かった。
◇
路地裏にひっそりと佇むこぢんまりとした焼き鳥屋は今日もすぐに満席になった。
他の会社よりも早く終わるおかげで、待たずに店へ入れるのはツクモのいいところかもしれない。
佐久間はビール片手に一番人気のせせりを頬張った。
「うんま!」
弾力があり脂ものっているせせりを、この店オリジナルの味噌で食べるのが一番好きだと佐久間は笑う。
「ほら、富樫も食えよ」
「食べてるよ」
「ビールも持って!」
富樫に焼き鳥とビールを持たせた佐久間は、スマートフォンで写真を撮り、遥に送った。
「うらやましいだろ。っと」
送信ボタンを押すとすぐに既読になるメッセージに佐久間はホッとする。
変な男に連れていかれたが、スマートフォンを見ることができる状態なら助けを呼ぶことくらいはできるのだろう。
「ハルカもこの店好きなのにな」
連れてきてやりたかったと肩をすくめながら佐久間は砂肝を手に取った。
コリコリとした食感にレモン風味のネギ塩がクセになる。
「あの男、ヤバそうだったけど」
車もヤバいが、背も高いし圧力が半端なかったと佐久間は男の容姿を思い出す。
「大丈夫だよ」
遥を心配する佐久間を横目に、富樫はつくねをむぐむぐ頬張りながら、あっさりと答えた。
「富樫、あいつ知ってるのか?」
「うん。こないだ会社に来ていたよ」
「いつ?」
「先週……かな」
佐久間は営業に行っていたから会っていないかぁと、富樫は呑気に答えながらビールを飲み、串に残ったつくねに噛り付く。
「本当に大丈夫なのか?」
「うん」
富樫が言うなら大丈夫……か。
納得できないまま佐久間はビールをグイッと煽った。
「大将、ビールとレバー!」
「あいよ!」
注文している佐久間を横目に、スマートフォンを鞄から取り出した富樫は海外サイトを検索した。
いくつかページを開いては戻り、次を開いてお目当ての記事を探す。
富樫の画面には英語で書かれた本文とパーティで要人と握手をしている隼人の写真。
「取られちゃうのかな……」
「なにか言ったか、富樫」
「ううん」
富樫は慌ててスマートフォンをポケットにしまい込む。
これうまいぞとレバーを佐久間から手渡された富樫は「今度はハルカちゃんと三人で来ようね」と笑った。
◇
冷蔵庫のあり合わせで作ったと隼人は言ったけれど、遥は今日も隼人の女子力に完敗した。
夜景にハンバーグというだけで高級レストランではないのかと勘違いしそうになるが、ここは隼人の自宅。
世の中は本当に不公平だ。
「今日は飲みすぎるなよ」
「本当にごめんなさい」
料理に合わせてワインの銘柄が選べるほどのワイン所有量も驚きだが、この人の知識も怖い。
そして料理の腕前も。
CEOをやめても料理人として生きていけそうだと遥はジューシーなハンバーグを口に入れながらつい思ってしまった。
「来週の金曜、パーティに同伴してくれ」
「パ!?」
ハンバーグが喉に詰まるのではないかと思うほど焦った遥は、フォークを慌てて置き、胸の上をボンボンと叩いた。
M-ADCのホームページを見ても代表的な取引先にツクモはない。
本社はロサンゼルス。
あぁ、だからロサンゼルスに行っていたんだ。
CEOの写真は載っておらず、Hayato Mamiyaという名前のみ。
「いったい何者なんだろう?」
どうして私に融資を、ううん、どうして契約結婚を持ちかけたのだろう?
「あ、佐久間からだ」
スマートフォンに届いたメッセージには新しいアプリの意見を書いた紙が添付されている。
なぜか焼き鳥とビールを両手に持った富樫の写真付きだ。
「二人で飲みに行ったんだ」
楽しそうだなと遥はスマホを眺める。
「夕飯できたぞ」
「あっ、はい。すぐ行きます」
遥はスマートフォンをポケットに突っ込みながら立ち上がり、ダイニングに向かった。
◇
路地裏にひっそりと佇むこぢんまりとした焼き鳥屋は今日もすぐに満席になった。
他の会社よりも早く終わるおかげで、待たずに店へ入れるのはツクモのいいところかもしれない。
佐久間はビール片手に一番人気のせせりを頬張った。
「うんま!」
弾力があり脂ものっているせせりを、この店オリジナルの味噌で食べるのが一番好きだと佐久間は笑う。
「ほら、富樫も食えよ」
「食べてるよ」
「ビールも持って!」
富樫に焼き鳥とビールを持たせた佐久間は、スマートフォンで写真を撮り、遥に送った。
「うらやましいだろ。っと」
送信ボタンを押すとすぐに既読になるメッセージに佐久間はホッとする。
変な男に連れていかれたが、スマートフォンを見ることができる状態なら助けを呼ぶことくらいはできるのだろう。
「ハルカもこの店好きなのにな」
連れてきてやりたかったと肩をすくめながら佐久間は砂肝を手に取った。
コリコリとした食感にレモン風味のネギ塩がクセになる。
「あの男、ヤバそうだったけど」
車もヤバいが、背も高いし圧力が半端なかったと佐久間は男の容姿を思い出す。
「大丈夫だよ」
遥を心配する佐久間を横目に、富樫はつくねをむぐむぐ頬張りながら、あっさりと答えた。
「富樫、あいつ知ってるのか?」
「うん。こないだ会社に来ていたよ」
「いつ?」
「先週……かな」
佐久間は営業に行っていたから会っていないかぁと、富樫は呑気に答えながらビールを飲み、串に残ったつくねに噛り付く。
「本当に大丈夫なのか?」
「うん」
富樫が言うなら大丈夫……か。
納得できないまま佐久間はビールをグイッと煽った。
「大将、ビールとレバー!」
「あいよ!」
注文している佐久間を横目に、スマートフォンを鞄から取り出した富樫は海外サイトを検索した。
いくつかページを開いては戻り、次を開いてお目当ての記事を探す。
富樫の画面には英語で書かれた本文とパーティで要人と握手をしている隼人の写真。
「取られちゃうのかな……」
「なにか言ったか、富樫」
「ううん」
富樫は慌ててスマートフォンをポケットにしまい込む。
これうまいぞとレバーを佐久間から手渡された富樫は「今度はハルカちゃんと三人で来ようね」と笑った。
◇
冷蔵庫のあり合わせで作ったと隼人は言ったけれど、遥は今日も隼人の女子力に完敗した。
夜景にハンバーグというだけで高級レストランではないのかと勘違いしそうになるが、ここは隼人の自宅。
世の中は本当に不公平だ。
「今日は飲みすぎるなよ」
「本当にごめんなさい」
料理に合わせてワインの銘柄が選べるほどのワイン所有量も驚きだが、この人の知識も怖い。
そして料理の腕前も。
CEOをやめても料理人として生きていけそうだと遥はジューシーなハンバーグを口に入れながらつい思ってしまった。
「来週の金曜、パーティに同伴してくれ」
「パ!?」
ハンバーグが喉に詰まるのではないかと思うほど焦った遥は、フォークを慌てて置き、胸の上をボンボンと叩いた。