喰 喰

躓きの一言


片思い……勇気がなく、そっと見守るだけの日々。
そんな日々に区切りをつけ、想いが伝わったと思ったのに。
その始まりは、咄嗟に口走った一言。
ずっと付きまとう後悔。
私が、もっと彼の事を知っていればよかったのに……
この想いは変わらないだろうけど、何かが違ったのかもしれない。
傷つけたのは私。
許してほしい、お願い。
もし時間が戻るなら……

私、小林 茶紗(こばやし さしゃ)が受けるのは。
同一人物からの異なった二つの愛情……


今までに何度か名前を耳にした。
成績優秀で常に上位にいる彼。
スポーツ大会や体育祭では、部活に所属していないのに、運動神経抜群の活躍をする。
そして女子の視線を奪う容姿……彼を見つけるのは簡単だった。
耳に入る情報。目にする外見。それだけで想いは膨らむ。
すべてを知ることも出来ないのに。
そんな外側への想いは彼を傷つけた。
憧れ。淡い恋。未熟な好奇心。


慎重というより心配性で確認作業を繰り返す私は、忘れた事のない提出物。
よりによって生徒指導の先生の授業で!!
放課後。ほうきを持って、足取り重く歩いて向かう。
罰掃除の裏庭。
そこは面積が小さく、その割に木々が乱立して落ち葉やら、風で飛んできたゴミの溜まる場所。
そんな小さな裏庭は、罰掃除の定番。
校内で一番、掃除が行き届いているのではないだろうか?

「好きな人がいるんだ。」
「どんな子なの?」
「俺のこと、見てくれる人……本当の俺を、きっと……」

居たのは先客。
荒木 希渉(あらき きしょう)君と、知らない子……


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