幼馴染のち恋模様
何故、結婚することが知られているのだろうか・・・。
頭にたくさんの?が浮かぶ。
いや、待てよ・・・もしかして!定食屋の件かっ!
言わないでって言ったのに〜!
「なんで知ってんの?」
梗介が疑問を言葉にする。
「だって葵ちゃんと夕飯食べに来るなんてそういうことでしょ?」
「梗介くんの名前が出た時からそうだろうなって思ってたわよ?」
「「結婚するのよね?」」
母二人の声がハモリ、目が点になる。
親の嗅覚とは恐ろしいものだ。
梗介と目を合わせ、姿勢を正す。
「なぁに、改まって・・・」
戸惑う母たちに真剣な眼差しを向ける。
梗介は葵の手を握るとスーッと息を吸って話し始めた。
「圭吾さん、百合さん。これまで葵とたくさんすれ違ったけど、俺が心から愛するのは葵だけだ。今は言葉でしか伝えられないけど、これから行動で証明する。もう絶対手放さない。葵と結婚します。葵と生きていくこと、認めてください」
迷いのない真っ直ぐな声で言葉を紡ぎ頭を下げる。
葵も後に続いて口を開いた。
「私も、梗介と生きていくって決めた。これからきっと幸せな気持ちだけじゃいられない時もあるかもしれない。でも、梗介と一緒なら乗り越えていけると思えたの。だから、祐一さんと菫さんにもお願いします。梗介と生きていくことを、認めてください」
両親たちは各々目を合わせ、頷く。
最初に話し出したのは葵の母、百合だった。
「二人とも顔を上げなさい」
恐る恐る顔を上げる。
「二人の想いも覚悟もしっかり伝わったわ。元々反対する気なんてさらさら無いのよ。だから梗介くん、葵を選んでくれてありがとう。自慢の娘なの・・・どうか、見捨てないでやってね」
「俺から手を離すことはないし、葵が離しても追いかけて捕まえるよ」
「あら、情熱的っ!」
百合は頬を染めうっとりする。
「葵ちゃん、不器用な梗介だけど支えてやってね。昔から葵ちゃんのことしか見てないからちょっと重たいかもしれないけど・・・」
「ちょっ、母さん!」
動揺した梗介が止めに入るが、止まるわけもなく・・・
「誰に似たのか、一途なのはいいことなんだけどねぇ・・・しつこいというか、執念深いというか・・・」
「梗介は完全に父さん似だよな」
「昴は黙ってろ!」
菫と昴が梗介を揶揄う。
「梗介、葵一筋なんて見る目あるぞ!さすが俺が認めた男だ!」
圭吾は梗介と肩を組み楽しそうに笑っている。
「梗介も葵ちゃんも、夫婦だからって二人だけで頑張らなくてもいいんだよ。いつでも頼りなさい」
祐一が最後の締めのように二人を包み込んだ。
この人たちが葵と梗介に家族というものを教えてくれた。感謝でいっぱいだ。
この温かい空間で育って来れたことを誇りに思う。
「祐一さん、菫さん、お父さん、お母さん、それに昴。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
梗介と二人でもう一度頭を下げる。姿勢を戻すと自然と視線が絡まり、お互いに安堵の笑みをこぼした。話し始めるのと同時に繋いだ手は、これからの未来を結ぶように、離れず繋がれたままだった。